メジャー誌発のアニメでなくても海外でバズる

これがアニメ化の厳しい現実ではあるが、3カ月ごとにこれだけ多くの作品がショーケースのように並ぶ。その中で、『推しの子』のようにアニメも音楽もマンガもすべてがメディアミックスで世界中に広がるような珠玉の一作が誕生することもままある。

なにより、われわれが認識すべきことは「世界と日本で意外なほど時差もリテラシーの差がない」という事実だ。

中山淳雄『クリエイターワンダーランド』(日経BP)
中山淳雄『クリエイターワンダーランド』(日経BP)

すでにネットフリックス、クランチロール、アマゾンプライムといった動画配信視聴が当たり前になる中で、毎度3カ月ごとにほとんどの海外ユーザーはアニメに同時間帯でアクセスすることができ、日本人と同じように味わっている。

この5~6年で、海外のアニメファンは急激にアニメに対するリテラシーを上げてきている。ジャンプやマガジン、サンデーなどのいわゆるメジャー誌出身マンガの期待値大のアニメ作品! とはいわずとも、中堅どころやラノベ出自のアニメ化作品でも初動で数万人の海外ファンが集まるようになっている。

そこでは異世界モノも学園ラブコメも等しく消費されているのだ。

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