刑事処分との線引きになる速度がある

そこの線引きは、一般道では30キロオーバー、高速道路では40キロオーバーで設定されています(道路交通法施行令45条、同令別表6)。つまり、これ以上の速度で走ると「刑事処分」に、これ未満の速度でスピード違反をすると「行政処分」になります。

例えば、普通車であれば、行政処分の反則金の額は、

高速道路 35キロ以上40キロ未満 3万5000円
高速道路 30キロ以上35キロ未満 2万5000円
(共通) 25キロ以上30キロ未満 1万8000円
(共通) 20キロ以上25キロ未満 1万5000円
(共通) 15キロ以上20キロ未満 1万2000円
(共通) 15キロ未満 9000円

と定められていますから、やはり理屈の上では、1キロでも速度超過をすればそれは違反であり、反則金の対象として捕まり得るということになります。

ただ、現実に警察は1キロでも速度超過をすれば捕まえる、という対応はしていません。それはそのような運用をすればおよそ捜査の人手が足りなくなってしまうという理由によるものと思われます。ですので、特に悪質なスピード違反を捕まえるという方針なのだと思います。

首都高速道路を走行中、露光を長くした写真
写真=iStock.com/Hikari Homma
※写真はイメージです

東名高速から首都高に入ったところで捕まるケースが多い

2 刑事処分とよくあるスピード違反

一般道で30キロオーバー、高速道路では40キロオーバーで刑事処分となりますが、それ以上に何キロ出したらどうなるのかという点については法律の定めはなく、検察庁の処分に委ねられています。検察庁では、速度超過が80キロ以上であれば前科や前歴がなくても公判請求(つまり、懲役刑)、80キロ未満であれば罰金という画一した基準で運用しているようです。

当事務所にご相談いただくケースで多いのは、首都高でのスピード違反と新東名などの3車線ある高速でのスピード違反です。

まず、首都高では制限速度が50キロや60キロですので、130キロや140キロを出すと80キロオーバーになってしまいます。特に東名高速道路から首都高に入った際に、それまでと同じような速度を出してしまって捕まってしまうというケースが多いです。また、3車線ある高速で、深夜に走ったりしていると、速度感覚を失ってしまって気づいたら80キロオーバーをしてしまっていたというケースもあります。

80キロオーバーをしてしまった場合の量刑ですが、初犯であれば、概ね、違反速度が80キロ台であれば懲役3月が求刑され、判決は懲役3カ月、執行猶予が2〜3年、違反速度が90キロ台であれば懲役4カ月が求刑され、判決は懲役4カ月、執行猶予が2〜3年となっていることが多いようです。

職業の中には、スピード違反で刑事処分(罰金や懲役刑)になってしまったら資格を失ってしまう職業もありますので、特にご注意いただければと思います。