食の安全を守る「食品添加物」

現代は昔と違って各家庭に冷蔵庫があり、コールドチェーンのような流通も発達し、さまざまな冷凍食品や加工食品、レトルト食品などが手に入るようになり、とても便利になりました。便利な食品やお惣菜を利用して、調理の手間を省くのは悪いことではありません。でも「食品添加物が入っているから危険」「脂分や塩分が多いから体に悪い」などと言う人がいて気になりますね。それは本当でしょうか。

食品添加物とは、食品の製造過程または加工・保存の目的で使用されるもので、「保存料」「甘味料」「着色料」「香料」などがあります。日本では内閣府の食品安全委員会が食品添加物の安全性について評価し、人の健康を損なうおそれのない場合に限って成分の規格や使用の基準を定め、厚生労働省が使用を許可しています。

食品添加物は、前回の記事で紹介した農薬と同様、国民一人当たりが1日に摂取する量を調査した上で、人が毎日一生摂取し続けても健康に悪影響がないとされる一日摂取許容量(ADI:Acceptable Daily Intake)の範囲で使われます。

過去の食品被害や公害の話を見聞きしていると怖いイメージを持つものですが、よく知ると食品添加物の使用にはとても厳しい基準があって、厳格に守られているので、市販されている食品を食べても問題はないということがわかりますね。

お弁当とお惣菜のイメージ
写真=iStock.com/karinsasaki
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無添加が危険な場合もある

少し前、「無添加」「砂糖半分以下」とうたって販売されていたマフィンが、重篤な健康被害を受ける可能性が高い「CLASS(クラス)I」に認定され、回収された事例がありました。食品を作ってすぐその場で食べるのであれば添加物は不要ですが、一度にたくさん作って輸送して販売する場合は、添加物を適切に使うことで安全性が高まります。砂糖にも細菌増殖を抑える働きがあります。

「無添加だから安心」などといっても、そのせいで腐敗していたり、カビが生えていたりしたら、とても危険です。コールドチェーンが発達したり、食品添加物ができたりする前は、今と違って食中毒になる人がとても多かったのです。食中毒は特に子どもなら命に関わることもあります。そういう意味で、食品添加物は私たちの安全を守ってくれているのです。

一方、加工食品は「脂分や塩分が多い」と言われがちですが、必ずしもそうとは限りません。近年、加工食品には成分表がついていて、脂分や塩分、カロリーなどが明記されていることが多いですね。コンビニのお惣菜やお弁当などにも詳しく書いてあるため、むしろ脂分や塩分、カロリーの摂取量を減らすのにとても便利だと思います。家庭で調理する場合、いちいち材料を計って算出するのは難しいからです。またアレルゲンも表示されていますから、かえってわかりやすく安心できる面もあるでしょう。