時代は「マイクロソフト、エヌビディア、メタ」へ

2023年10月~12月期の米大手IT先端企業の決算が出そろった。GAFAM〔グーグル、アップル、メタ(旧フェイスブック)、アマゾン、マイクロソフト〕の業績を比較すると、生成AI関連事業への取り組みが明暗を分けた。まさに、AIが先端企業の分水れいになっているようだ。

米ドル紙幣の上のアップルiPhone 13 Pro
写真=iStock.com/ozgurdonmaz
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AIへ積極的に取り組んできたマイクロソフトとメタ、さらにAI関連の半導体分野で強みを発揮するエヌビディアの成長期待はよいものがある。生成AIへの対応力の差を反映して株式市場にも明らかに変化が表れている。これまでの“マグニフィセントセブン(GAFAMとエヌビディア、テスラ)”から“MnM(マイクロソフト、エヌビディア、メタ)”へ、主要投資家の注目はシフトしつつある。

AIがもたらす高い成長という“夢”を追いかけ、世界のIT有力企業は開発を急いでいる。これから先進国に限らず世界中で、今まで経験しなかったスピード、規模感で生成AIが社会に浸透することになるだろう。それは、われわれの日常生活も大きく変える、驚くべきパワーを持っているとみるべきだ。

“チャットGPT”で快進撃を続けるマイクロソフト

一部の専門家からは、「今後10年以内に人間と同等の知能と判断力を持つAIが出現する」との見方もある。われわれも、そうした変化に順応していくことが求められるだろう。高い成長を追求する企業や研究者は今後も増加し、投資家のMnMへの成長期待も高まるはずだ。

成長期待の高い生成AI分野への取り組み度合いが、マグニフィセントセブンの明暗を分けた。1月が決算期のエヌビディアの決算発表はまだだが、いち早く生成AIを強化したマイクロソフトや、最新のGPU投入で業績が拡大したエヌビディア、さらにはリストラを進め、生成AI関連事業を強化するメタの3社は勢いが増している。最近では、“MnM”と称される3社が主要成長企業になっているようだ。

“チャットGPT”登場をきっかけに、マイクロソフトはAIとクラウド事業を結合した。クラウドは、データなどの保存だけではなく、生成AIを用いて企業の事業運営の効率性、生産性向上を実現するデジタル・ツールに昇華した。生成AI関連サービスの需要増加がマイクロソフトの業績拡大を支えた。

マイクロソフトなどIT先端企業の生成AIビジネスに欠かせないのが、エヌビディアが設計開発を行うAIチップだ。同社は台湾積体電路製造(TSMC)の最先端の製造ラインを用いてGPUを生産し、IT先端企業の需要を取り込んだ。