確実性と不確実性のバランス

借金を返すことができなくなり、破産してしまう人生というのは、リスクを取りすぎてしまった人生の末路であり、これもまた貧乏脳の特徴の一つでしょう。

頭を抱える人のイメージ
写真=iStock.com/takasuu
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よく日本人は「もっとリスクを取らないといけない」とされます。もちろん際限なくリスクを取れということではなく、日本人は比較的他の国の人に比べると安全確実なことを求める人が多いので、それであればもうちょっとリスクを取るほうに行きましょうね、という意味です。

そして、そこに必要なのは確実性と不確実性のバランスをとることなのです。ビジネスにおいてもそうですが、例えば新商品の開発をしているときに、一発ホームラン狙いの勝負に出るか、それとも地道にヒットやバントを重ねていくかという選択肢があります。

ここで重要なポイントは、場外ホームランを打つ人は空振りもたくさんしているということです。そのような不確実性に対する選択は、私たちの日常でも常に起こっていることです。

例えば、会議で発言する人としない人というのも、実は見方を変えれば確実性と不確実性を考えたリスクテイクです。

発言するというのは評価されるケースもありますが、場合によっては「何馬鹿なことをいっているんだ」と思われてしまう可能性もあるわけです。ですので、リスクテイクできない人というのは、発言をあまりしない人が多いと感じます。

決して「借金=悪」ではない

講演会で質問するということもリスクテイクであり、そういうところでリスクに対する感覚が鍛えられていくのです。

さらにいえば、営業マンの飛び込み営業も当然リスクテイクになります。また、確率論で考えると、試行数が増えないとデータが十分には取れないので、リスクが取りづらくなります。

ですから、1回しか投資をしたことがない投資家というのは、明らかに経験不足です。投資回数が100回とか1000回になっていくと、データが蓄積されていくので自分の中でリスクの取り方がわかってくるのです。

そういう意味においては、大やけどしない程度に借金も投資も考えていくというのは大事なことです。

このようなリスクテイクというのは、実は誰もが子どものときから学んでいるものです。例えばババ抜きやポーカー、大富豪やUNOなどのゲームです。このようなゲームをやる中で、自分の中の確実性と不確実性のバランスのとり方を学んでいくのです。