ネットフリックスが日本の往年のマンガ作品を次々と実写化している。なぜアニメ化ではなく、実写化なのか。テレビ業界ジャーナリストの長谷川朋子さんは「原作としての質が非常に高く、世界中にファンがいる。巨額の制作費を投資しても手堅くリターンを得られるとみているようだ」という――。
Netflixで2023年12月から配信されているドラマ「幽☆遊☆白書」
画像提供=Netflix

実写版「幽☆遊☆白書」のほんとうの評価

世界的な日本のマンガ人気にあやかると、実写ドラマも世界で評価される……。机上の論ではうまくいきそうな話であっても、現実はそう単純なものではない。

そんな中、冨樫義博による伝説的大ヒットマンガの実写版「幽☆遊☆白書」は作品ファンから多少の不満の声が上がりつつも、ビジネス的には限りなく理想に近づいた作品と言える。

実写化したのはNetflixだ。主人公の不良少年「浦飯幽助」役に若手俳優の北村匠海を起用。

日本人キャストによる日本発Netflixドラマシリーズとして「幽☆遊☆白書」(全5話)が2023年12月14日から世界配信が開始されると、Netflixが公式発表する週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)で初登場1位、英語を含めた全言語シリーズでは全世界2位を獲得し、出だしから好成績を収めた。

国別の内訳も文句ない結果だ。日本をはじめアジア諸国だけでなく、世界的ヒットの鍵を握るアメリカでもTOP10入りを果たし、初登場で世界92の国・地域でランクインした。

2週目(2023年12月18日~24日)も勢いはとまらなかった。週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)で1位、英語を含めた全言語シリーズで全世界2位を維持した。

2023年に配信された日本発の作品ではダントツ

さらに国別ではナイジェリアやカタール、ドミニカ共和国など日本の実写ドラマがこれまでほぼ響かなかった国でも週間「TOP10」1位を獲得した。さすがに4週目(2024年1月1日~1月7日)以降は落ち着いてきたが、全世界配信から約1カ月間で約7560万時間視聴されている。

世界中で再生された実写版「幽☆遊☆白書」の初動の成績は、Netflixにとって満足できる結果を残したのではないか。2023年に配信された日本発の実写作品(映画/ドラマ)は計11本に上ったが、その中でも断トツだった。

再生数だけでは測れない作品の中身に対する評価も気になるところ。辛口の批評サイトで知られる米Rotten Tomatoesではオーディエンス平均スコアは82%(2024年1月15日時点)と、まずまずだ。

「幽☆遊☆白書」を語る上で欠かせない人間界と魔界と霊界の三つが交錯する世界観とキャラクター同士のバトルの描かれ方は第1話から引き込まれ、確かに満足感を得ることができる。