ドラマ作品としてはまずまずだが

実写版「幽☆遊☆白書」はと言うと、何よりVFX技術による映像表現で十分に挑戦しているが、それはドラマ作品として成功するために必要な条件である。

攻めてほしかったのは、主役の「浦飯幽助」と人気を二分する「蔵馬」や「飛影」の描き方だ。現在放送中のNHK大河ドラマ「光る君へ」で登場シーンからインパクトを残すほどの本郷奏多なので、彼の俳優としての実力をもっと引き出しても良かったのではないかと思ってもしまう。

もっと良くなったはずの「飛影」
画像提供=Netflix
もっと良くなったはずの「飛影」

キャラクター設定から俳優の起用までドラマ作品としては平凡に映り、世界的にも話題が広がるような突き抜けた要素が見当たらない点がもったいなかった。

とはいえ、実写版「ONE PIECE」に続いて実写版「幽☆遊☆白書」も手堅く数字上の実績を残したことで、日本のマンガ原作ドラマに価値があることを印象付けたのではないか。

映像化を見据えて作られている韓国マンガ

そこで思うのは、Netflixがそもそも日本のマンガ原作を実写化する理由だ。

これまでマンガやアニメの原作を実写化することに否定的な意見が多かったことは事実にある。Netflixでも過去に実写の英語シリーズとして作られた「カウボーイビバップ」が期待外れに終わったこともあった。

日本のマンガやアニメ原作ドラマから確実なヒットがなかなか生まれてこない間に、韓国発のウェブトゥーン(タテ読みウェブマンガ)を原作にした実写ドラマが台頭もした。

ゾンビドラマ「今、私たちの学校は…」やサバイバルホラー「Sweet Home 俺と世界の絶望」などNetflixで次々とヒット作品が生まれている。

こうした流れを受けて、Netflixのコンテンツ取得部門アジア担当バイスプレジデント(インドを除く)キム・ミニョン氏は2023年12月13日に開催したアジアのプレス向け説明会「APACショーケース」で韓国ウェブトゥーン発ドラマに今後も注力していくことを明かしている。

ウェブトゥーンは映像化を見据えて作られていることが特徴の1つにあり、実写化との相性が良いのは当然だろう。