食事の前後の運動で血糖値の急激な上下を防ぐ

また、血糖値スパイクは血管にダメージを与えて、動脈硬化を進めることもわかっています。そこで、肥満や動脈硬化を防ぐには、血糖値の上がり下がりをゆるやかにすることが重要だといわれています。

これに対し、食事の前後に運動をすると、筋肉への刺激によって、血糖値の上がり方がゆるやかになり、また下がるときもゆるやかになることがわかっています。

血糖値がゆるやかに上下すると、血糖を体脂肪としてため込まず、すぐに使えるエネルギーとして消費されるので、肥満になりにくいのです。

低糖質ダイエットもこのような考えが基本にあります。糖質の摂取量を減らせば、血糖値が上がりにくいので、肥満になりにくいというわけです。

しかし、私は血糖値を上げない生活を長く続けていると、ある種の時差ボケのような状態が起こるのではないかと危惧しています。

私たちは血糖値を上げて生活のリズムをつくっているので、体を動かすときに血糖値をしっかり上げておかないと、夜眠れなくなったりする危険性があります。

もちろん、血糖値を上げるときは、血糖値スパイクを起こさないようにゆるやかに上げる必要があります。そのためには、食事の前後に軽い運動をすることが有効なのです。

座っている時間を減らそう

食事時間とのタイミングなどもありますが、まとめて運動しても、消費できるカロリーはそれほど多くはありません。運動で消費するカロリーというのはそれほど多くはないということです。

逆に、家にいるときも、ちょこちょこ動いていたほうが、トータルでの消費カロリーは多くなります。

もちろん、ジムで行うような運動も大事ですが、まずは日々の身体活動によって消費するカロリーに目を向けてほしいのです。

家事をして疲れた女性
写真=iStock.com/kazoka30
※写真はイメージです

ポイントとしては、「食べたら動く」ことを意識するとよいと思います。例えば、食べてすぐ座らないことを習慣にしてはいかがでしょうか。

自宅で食事するなら、食べた後もずっと座りっぱなしでいないで、片付けや洗いものをすませるとか。ランチが外食だったら、すぐに会社に戻って座らない。ランチが終わったら、少し散歩をしてから会社に戻るような時間を持つことが大事です。

前述のように、食事の前後の運動は血糖値をゆるやかに上げて、血糖値スパイクを防ぐというメリットもあります。そうやって、日常の活動時間を少しずつ増やしていくとよいと思います。