次に買うべきは中国株であるのか

中国への投資を考えている人もいるでしょう。いま中国の株価は下がっています。一般的に株価が下がっているときに買うのはよいことです。しかし、あなたが中国のことを何も知らないなら、中国株は買うべきではありません。自分が何に投資すべきか判断できない限り、投資をしてはいけません。

中国経済は新型コロナウイルスの大流行で大きな影響を受けました。そして不動産業界では、バブルが弾けました。中国はいま苦しんでいますが、投資家の立場からすれば、安値で買えるのはチャンスです。歴史的に見ても、株価が下がったときには、産業や企業、あるいは国に投資するには、よい時期であることが多いのです。そう考えるなら、いまは中国に投資するのによい時期かもしれません。

問題は中国がいつ復活するかです。不動産バブルが崩壊し、「デフレスパイラルが日本のように30年続くか」と聞かれれば「それはないかもしれない」と答えます。では、15年で復活するのか。それはわかりません。大きなバブルが破裂したのですから、戻るまでにはそれなりの時間がかかります。

中国の不動産バブルは、私たちがこれまで見てきた中で最も大きなバブルでした。だからこそ、リカバリーまでには時間がかかるのです。ただ、いつかは復活するでしょう。それを前提にすれば、安いときは買い時といえます。私の言うことを鵜呑みにして投資することはお勧めできませんが、世界中を見渡しても、投資すべき場所は多く残っていません。中国はその一つです。

21世紀に新たに覇権を握る国があるとすれば、中国以外に考えられないからです。20世紀にアメリカが覇権を握ったときも大不況で、さまざまな大企業が破綻しました。いまの中国も景気減速によって多くの企業が破綻していますが、それも世界の覇権を握るためのステップだと私は思います。こうしたことは、歴史を振り返ればたびたび起きてきます。イギリスも同じです。覇権を握るときにさまざまな破綻を経験しました。長い視点で見れば、中国でいま起きていることは短期的なものであって、そこからしっかり反発できると私は見ています。

そして中国が世界の覇権を握ることになれば、人民元が基軸通貨になるでしょう。問題は米ドルやユーロのように電子で簡単に取引ができないことです。私も人民元を少し保有していますが、もっとオープンに取引ができるようにならなければ、基軸通貨になるチャンスはありません。そのため、人民元が基軸通貨になる時期は、まだまだ先だと考えられます。

中国に限らず、自国以外の国によい投資機会は必ずあるはずですから、それを探して資産を保管したほうがいいでしょう。私が子どものころ、アメリカ人は日本の製品をバカにしていました。そのとき、日本に投資していれば巨大な富を手にしたでしょう。

投資機会を見つけた国について詳しければ、その国の中で投資対象を探せばいいのです。もし、その国に詳しくなければ、もっと興味のある国について調べてみてください。自分の資産を運用する、お金を儲けるには他人の意見を聞くのではなく、自分の好きなものを自分で調べてチャンスを見出さなければなりません。他人の言うことを聞いても当てにならないかもしれないからです。

借金が少ない国に投資を検討するのはよいことです。危機が起きたときに人々が最初にすることの一つは、負債を確認することだからです。その意味で借金が少ない国を探すことはよいことですが、該当する国はほとんどありませんので、よく調べてから投資をしてください。

【図表】投資先として検討している国の借金の多さを調べるのも手

話は変わりますが、現在の私のポートフォリオの大半は米ドルです。米ドルのキャッシュやMMF(マネー・マーケット・ファンド)などで保有しています。次の危機がやってきたとき、安全資産と見られている米ドルは、いまよりももっと買われるはずです。ただ私は米ドルが安全資産だと思っているのではありません。世界中の投資家が米ドルを安全資産だと考えているため、米ドルの価値が上昇すると思うので、私は保有しているのです。

米ドルがバブルになったとき、米ドルを売って何を買えばいいのか、私にはまだわかりません。どの通貨がいいか見極めはついていないのです。正しい回答は、おそらく人民元だと考えますが、人民元は簡単に取引ができる通貨ではないので、いまのところどうなっていくかは未知数です。