「バイデノミクス」が米国民の生活を苦しめている

事実、消費者が購入する各種のモノやサービスの小売価格の変動を調査・算出した米国の消費者物価指数(CPI)は、2015年12月から2023年12月までの間に累計で25%以上も上昇しており、その急上昇分のほぼすべてがバイデン政権下で起こっている。

この急激なインフレに賃金の上昇率が追い付けず、多くの米国人の実質賃金は目減りをしてしまった。そのため、消費を切り詰め、2つ以上の仕事を掛け持ちして何とか糊口をしのいでいる人が多い。

消費を切り詰め、2つ以上の仕事を掛け持ちしてしのいでいる(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/FluxFactory
消費を切り詰め、2つ以上の仕事を掛け持ちしてしのいでいる(※写真はイメージです)

トランプが人気というより、バイデンが恨みを買っている

にもかかわらず、バイデン政権は「失業率を歴史的な水準に低下させ、半導体・電気自動車・バッテリー・クリーンエネルギーなどの産業を振興し、2023年7~9月期の国内総生産(GDP)を前期比の年率換算で4.9%も上げるなど、着実な成果を上げた」として、バイデン大統領の経済政策である「バイデノミクス」を誇っている。

これでは、国民の間に意識の差が生まれるのは当然だ。多くの米国人にとり、GDPがどれだけ伸びても暮らし向きは全然楽にならず、逆に収入の目減りが続いている。ここ数カ月で実質賃金がインフレ率をわずかに上回るようになったものの、過去の目減り分を取り戻すにはほど遠い。そうした中でバイデン大統領が「経済が良くなった」と自慢しても反感を買うだけだ。

トランプ前大統領が人気なのではなく、バイデン大統領が国民から恨みを買っているからこそ、世論調査では「トランプは不適格だが、経済政策においてバイデンより信頼できる」という矛盾した結果が繰り返し表れるのだ。