プログラミングなどのITについて学ぶ「情報I」が2022年度から高校の必修科目となり、2025年1月の大学入学共通テストからは多くの大学で必須科目となる。その内容を社会人向けに解説した中山心太さんの新著『高校生だけじゃもったいない 仕事に役立つ新・必修科目「情報I」』(PHP研究所)から一部を紹介する――。
教室でパソコンを使って授業を受ける日本の中学生の女の子
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語源的には「デジタル」=「数字で表現された情報」

デジタルとは何か、を考えるためには、まず英語の“digital”とは何か考えましょう。これは“digit+al”です。digitは「(個々の)アラビア数字」を意味し、形容詞語尾の-alは「~の性質の」や「~式の」を意味します。したがって、たとえば“a digital clock”は「数字式の時計」となります。つまり、語源的には数字で表現された情報は、基本的に全て「デジタル」なのです。

一方で、アナログ(analog)とは、「似ている」「類似品」という意味です。技術や工学の分野では、ある物理量が、別の物理量と似ている、同じであると見立てることです。もともとはギリシャ語の“analogos”に由来し、“ana-”(~によると)と“logos”(比率、理由)が組み合わさった言葉です。

「デジタル」と「アナログ」の違い

たとえば、アナログ式時計は、人間が針の角度を読み取ることで、時間を知ることができます。針の角速度は常に一定であり、経過時間と針の角度が比例関係にあります。アナログ式温度計は、温度により赤く着色された灯油が膨張し、温度が長さという物理量に変換されます。そして、人間が長さを読み取ることで、温度を知ることができます。つまり、ある物理量と別の物理量の対応関係を利用するのがアナログ式です。そして、物理量(長さや温度や電圧や電流)というのは基本的に連続値です(1cmと2cmの間の距離にある長さはいくらでも存在する)。

一方で、デジタル時計やデジタル温度計では、物理量を最初から数字で表現します。数字で表現する場合、離散値(飛び飛びの値)で表現されます。たとえば、小数点以下1桁まで表現できる温度計では「36.5℃」と「36.6℃」は表現できますが、その中間の値は表現できません。これが、デジタルの特徴です。アナログ式であれば「35.55℃」に相当する物理量は存在します。