専門用語をどう使いこなせばいいか

【話がわかりやすい人とわかりにくい人の違い】
4.「一律の表現を使う」か、「相手の反応を見て言葉を変える」か
例:「今期の業績はどうですか?」と聞かれたとき

【話のわかりにくい人】

「そうですね、粗利は増加したのですが、販管費がそれ以上に伸びてしまって、結局、今のところ営業利益は昨対比マイナスですよ」相手によらず、一律の言葉、一律の表現を使いがちな人は「わかりにくい話」をする人である可能性が高い。とくに専門用語を使う際は要注意である。

【話のわかりやすい人】

「粗利は増加したのですが……、あっ、会計の用語はわかりますか? ……苦手ですか? すみません。ではもう少し砕けた言葉で説明します。結局、恥ずかしながら今期はあまり儲かっていません。広告にお金をかけすぎてしまって……」

専門用語を使いたいとき、専門用語を出して聞き手の顔が曇ったら、次から専門用語ではない言葉を使う。逆に、相手がその用語を理解しているようであれば、積極的に使ってみる。話すときは聞き手の反応を見て、リアルタイムに使う言葉を変えるのがいいだろう。

細部から説明を始めてはいけない

【話がわかりやすい人とわかりにくい人の違い】
5.「詳細から入る」か、「全体から入る」か
例:「将棋」を知らない人に将棋のやり方を伝えるとき

【話のわかりにくい人】

「では、駒の動かし方から説明します。この『歩』という駒は、前に1つだけ進むことができます。次にこの『飛車』という駒ですが、十字にどこまでも動けます。次に……」

いきなり「駒の動かし方」や「成なりのルール」から説明したり、あるいは二歩などの「反則」についての説明を入れてしまったりと、全体を意識しないで詳細から話す。

【話のわかりやすい人】

「将棋というゲームの目的は、自分の駒を動かして、相手の王という駒を取ることです。相手の駒があるマスに自分の駒を進めると、相手の駒を取ることができます。駒によって移動できる範囲が違います。駒の種類は……」

まず「2人でやるゲーム」「駒を動かして、相手の王様を取れば勝ち」というもっとも大きなルールを相手に伝える。次いで、「駒の種類」「最初の駒の並べ方」「駒の動かし方」「駒の取り方」「取った駒の使い方」といった具合に、全体から詳細へと順番に説明をしていく。理解に役立つイメージの共有は、やはり全体像から説明されることで可能になる。話は全体から入るようにする。

プレゼンテーション
写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs
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