女子は関東勢よりも地方勢が強い

そう思わざるを得ないのは男子と異なり、全日本大学女子駅伝は地方勢が圧倒的な存在感を放っているからだ。1994年から京産大が4連覇。1998年から2002年は関東勢(城西大と筑波大)が制したものの、その後、関東勢の優勝はない。

2003年から2015年は立命大が5連覇(11~15年)を含む10度の優勝、2017年からは名城大が7連覇。他にも佛教大(09年、10年)と松山大(16年)が制している。

今年はケニア人留学生を含む有力ルーキーが入学した大東文化大が2位に食い込み、3位は立命大。以下、城西大、日体大、大阪学大、関西大、東北福祉大と続いた。「シード権」獲得となる上位8校は関東3、関西3、東海1校、東北1校というバランスだった。

男子と様相が大きく異なるのには理由がある。それは女子は箱根駅伝のような“絶対的な存在”の大会がないということだ。近年人気が沸騰している箱根駅伝は、高校生ランナーにとっては憧れの舞台だ。正月に高視聴率を出す箱根駅伝の出場を目指して、強化している大学は年々増加。その結果、全国から関東の大学に有力選手が集まる一方で、地方勢の“衰退”が顕著になった。

画像=「東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト」関東学生陸上競技連盟
画像=「東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト」関東学生陸上競技連盟

関西勢は全日本大学駅伝で当然、惨敗

その結果、11月5日に行われた全日本大学駅伝は上位15校を関東の大学が独占。地方勢の最高は大阪経済大の16位で、関西学院大が17位、関西大が18位。箱根予選会に参戦した立命大は過去ワーストタイの20位に沈み、国立大の名古屋大にさえ先着を許している。

関東勢と地方勢の実力差は今や、歴然としている。仮に全日本大学駅伝が各地区枠を撤廃して全国一斉予選会となった場合(実業団女子駅伝がその方法を実施)、地方勢はどこも出場できない状況だ。

関西学連は「関西の有力な高校生選手の多くが関東の大学に進学していることから、関東の大学との競技力の差が大きい」と問題視。そこで、毎年11月に開催し、今年85回目を迎えた「西の箱根駅伝」ともいえる丹後大学駅伝(関西学生対校駅伝競走大会)で新たな取り組みを実施した。

関東の強豪・青山学院大を招待したのだ。その遠征費をクラウドファンディングで募ったところ、目標額100万円を大きく上回る363万2000円を集めることに成功した。

今年の丹後大学駅伝は京産大が8年ぶりに制すと、2位は関西大、3位は立命大。オープン参加した青学大はBチームというべきメンバーで臨み、4位相当だった。

青学大の存在で例年よりも大会そのものは盛り上がったが、関西勢の強化策にチグハグな印象を抱く陸上関係者は少なくない。筆者もそのひとりだ。

Bチームの青学大をわざわざ招待する必要はあったのだろうか。もっと言えば、けっこうな予算を使って突破が現実的とはいえない箱根駅伝予選会に出場する必要はあったのか。

関西勢が箱根駅伝予選会に出場するにはそれなりの費用がかかる。各校エントリーメンバーは14人。監督、コーチ、マネージャーを含めて、チームとしては少なくとも20人弱が地方から上京して戦うことになる(その他、応援する部員もいるだろう)。

予選会のスタートは朝9時35分。ホテルに前泊する必要がある。少なく見積もっても関西勢が予選会に出場するには70万円以上の予算が必要だ。部費が潤沢ではないチームが大半だけに、お金の捻出は簡単ではないだろう。

確かに箱根駅伝を全国化する試みは面白いと思うが、筆者は、関西勢は全国区のブランドである箱根駅伝を追いかけなくてもいい、と感じる。なぜなら関西勢がやるべきことは別にあると思うからだ。関西勢の低迷は箱根駅伝の人気に押されている部分が大きいが、だからといって、箱根駅伝を目指しても強くなるわけではない。

では、関西勢はどうすればいいのか。