育児休業を取得する社員の仕事は誰がやるべきなのか。人材育成に詳しいFeelWorks代表の前川孝雄さんは「良識的な上司は『困ったときはお互いさま』と言いがちだ。一見、チームワークを大切にしているように見えるが、これでは安直すぎる」という――。

※本稿は、前川孝雄『部下を活かすマネジメント“新作法”』(労務行政)の一部を再編集したものです。

テーブルの上で手を重ねるビジネスパーソン
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

育児、介護、メンタル不調、体調不良…増える休職者

職場のダイバーシティが進み、ワーク・ライフ・バランスが重視される中で、国の施策としても企業の取り組みとしても、さまざまな働き方改革が進んでいる。その一環として、働く人個々の事情やライフイベントに応じた休暇・休業の仕組み(以下、単に休職と総称)などもかなり整備されてきた。

実際に、育児や介護と仕事を両立させながら働く人や、心身の疾病や障害を抱えた人が、柔軟に休みを取得するケースも増えている。働く人がさまざまな制約の中でも安心して働き続けられる職場環境の整備はたいへん好ましいことだ。

一方で、部下が休職して減員状態にありながら職場運営を任される管理職にとっては、マネジメントの難易度が格段に上がっているのが実情だ。実際に、私の会社が支援する企業の管理職からは、次のような悩みを打ち明けられることが増えている。

「なんで自分ばかり」社員にたまる不公平感

「業界や企業を取り巻く環境変化は激しく、会社の経営も厳しさを増すばかり。よって上層部からは、業績目標達成を厳しく追及される。その一方で、部下のワーク・ライフ・バランスに配慮し、残業規制や休暇・休業の取得促進にも留意せよと指示される。法令順守や社員への配慮は必須とはいえ、人員の減ったチームで残された仕事をいったい誰が担うのか。自分もプレイングマネジャーで余裕がない。現実はとても厳しい」

この状況に何とか対処しようと、休職者の仕事を他の部下に割り振ることもあるだろう。その際に悩ましいのが、社員間の不公平感から来る不平不満の声だという。育児や介護、疾病治療など、やむを得ない事情の社員が必要なときに休職することは、もはや既定路線。だが、残された部下(同僚)たちの仕事の負荷が増し、役割分担にゆがみが生じている。休職する社員の仕事を割り振られ業務過重に陥った部下からすれば、なぜ自分ばかり仕事が増えるのかと不満が鬱積うっせきし、陰に陽に噴出することも珍しくない。育児休業を取得した社員の同僚に手当を出す企業すら出てきている。