同世代の飲み会が「いちばんくだらない」

「そんなのは関係ないの。自分にとっていい人か、悪い人かっていうのはどうでもいい。大事なのは、相手が『どういう立場にいて、何ができる人なのか』ということなんだ。だから肩書きを見る。そして、その人と、これからどのような仕事ができるのかを客観的に判断する」
「よく、同世代で飲み会をやって、将来の夢を語っているのがいるでしょ。ああいうのがいちばんくだらない。決定権がない人間同士が愚痴を言っているだけ。おれは昔から、同世代とはほとんど仕事をしてこなかった。同世代とできる仕事なんてたかがしれてるんだよ!」

なるほど。たしかに、若いときは同じ世代で飲み会をして夢を語っていても、仕事には結びつかないことが多い。

もちろん、5年後、10年後におたがいが決定権のある立場になっていることもありますから、関係は長く続けたほうがいい。ですが、現時点では、名刺の肩書き――その人がいま、何ができる人で、自分が何を提供すれば化学反応が生まれるのか、ということこそ重要な情報なのです。

「人は肩書きじゃない」という理想主義にはなんの意味もないことを悟りました。

なぜ会議では「席順が命」なのか

もともと単純バカなので、言われたとおりにやってみました。出社すると、その日の会議や打ち合わせに出席する人の名前をリスト化します。始まる30分前には会議室に行き、席順を決める。鈴木さんはせっかちで、開始15分前には席についてタバコをふかし始めるので、それまでに準備を終わらせなくてはいけません。

最初のころ、鈴木さんは会議の前に必ず、どこにだれが座るのか、席順をこまかく指示してくれました。

たとえば、その日の打ち合わせが、来訪者が企画を提案してくる場だったとします。議事録を取るぼくは鈴木さんの横に座ります。鈴木さんの正面に、先方の責任者が座るようにします。

でも、それだけではダメなのです。

鈴木さんと責任者だけが議論する場をつくってしまうと、新しい意見が生まれにくい。そこで、来訪者のなかで、鈴木さんが気に入りそうな若いスタッフ(明るくて、率直に意見を言いそうな人)を、鈴木さんの目線が届く場所に座らせます。

席順で重要なのは、「目線」です。自分の意見よりも、相手の意見を引き出したいときは、みんなの目線が自分にぶつからない席に身を置いたほうが、議論を俯瞰ふかんしやすい。議論に決着をつけたい場合は、決定権者の目線が、自分のほうへ向く位置に座ります。