健康診断の結果はどう見ればいいのか。大阪大学大学院特任准教授の野口緑さんは「血圧や中性脂肪といった項目をバラバラに見て一喜一憂してはいけない。重要なのは、異常値が出た項目からあなたの血管の状態がどうなっているのかを知ることだ」という――。

※本稿は、野口緑『健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと』(日経BP)の一部を再編集したものです。

健康診断の結果
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結果の項目をバラバラに見てはいけない

メタボ健診の目的はたった1つのことを知るためにある。

会社や自治体で健康診断を受けた後、あなたはその結果をどのように見ているでしょうか? 結果の表にある1つ1つの値を見て、基準値を超えているかどうか一喜一憂している人が多いように思います。

「血圧が高いんだよね。最近は悪玉コレステロールも増えてきた」
「血糖値はそんなに高くないんだよ。でも中性脂肪がなぁ」

という感じです。飲み会などでも、こうした「健康診断の結果」の話で盛り上がることが多いかもしれません。

しかし、健康診断の結果について、そのように項目ごとにバラバラに見て終わりにするのは、正しい見方ではありません。

重要なのは「血管の状態がどうなっているか」

そもそも、会社で行う健康診断は、根拠になっている法律から見ても、職場配置における就労の可否や、健康上禁止あるいは配慮すべきことを判断するのが目的です。例えば、耳の聞こえが悪いのに車が往来するような場所で作業するのは危険ですよね。そういう判断材料にするのが本来の健康診断の目的です。

それに加え、40歳以上になると、「特定健診(メタボ健診)」を受ける必要があります。これは、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患(心臓や血管の病気)の重症化や、糖尿病の合併症を予防する目的で2008年からスタートした制度で、職場の健康診断の場合にはそれと一緒に行われることがほとんどです。

そして、メタボ健診の結果は、項目ごとにバラバラに見るのではなく、そこからあなたの「血管の状態がどうなっているか」を知ることが重要になります。自分の血管を取り出してその状態を調べることはできませんが、健康診断の結果を見れば血管の状態を推測できるのです。

「人は血管から老化する」という言葉を聞いたことはないでしょうか。血管の状態はその人の健康状態を左右します。血管が傷むと、血管の壁が硬くなったり「プラーク」というコブができたりする「動脈硬化」が起き、心筋梗塞など命にかかわる疾患の元凶となってしまいます。