頼みづらいと考えなくても大丈夫

もしかしたら診療に不満があって病院を替えたくても、医師が気を悪くすることを心配して紹介状を頼みにくい患者さんもいるかもしれません。ただ、医師側としてはそれほど気にはしません。医師と患者の関係には相性もありますので、医師を替えることも選択肢の一つです。遠慮なくおっしゃっていただいてかまいません。もしも本当の理由を伝えることに抵抗を感じたり、言いづらかったりするのであれば、嘘も方便です。例えば「転居するので紹介状をお願いします」とか「勤務時間帯が変わるので紹介状をください」とか「会社の近くでかかりたいので紹介状をいただけたら」などと適当な理由を言ってもいいと思います。

紹介状は、必ずしも知り合いの医師宛てに書くわけではありません。自分の専門領域ならどこの病院のどの先生がその病気に詳しいか把握していますが、そうでなければ医師を指定せずに「担当医先生」宛てに紹介状を書きます。

また、医療機関名を指定しない紹介状を書くこともあります。たとえば、高血圧で治療中の患者さんが遠方に引っ越すことになったとしましょう。遠方だとおすすめの医療機関がわからない場合があります。高血圧の場合は、だいたいどの内科でも診てもらえますし、宛先なしの紹介状をご用意して、転居先で患者さんご自身が好きなクリニックを受診できるようにします。

医療面接
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緊急時はFAXで送られることが多い

また、紹介状はこうして患者さんにお渡しすることもあれば、郵送することもあります。お渡しするときは封をしてありますので、何が書いてあるのか気になる患者さんもいるかもしれません。患者さんの医療情報は患者さんご自身のものですので見てもいいはずですが、勝手に開封してまで紹介状を見るのは医師からの信頼を失う可能性もありますのでおすすめしません。私は患者さんが希望されたら、同じものをコピーしてお渡しするようにしています。

例外的ですが、手渡しや郵送ではなく、FAXで送信することもあります。電子カルテは流出やハッキングなどを避けるために通常のインターネットからは分離されていて、電子メールで患者情報のやり取りはしません。先進的な医療情報ネットワークが利用できる病院もありますが、まだ限定的です。

緊急時にはFAXは現役です。患者さんを緊急に搬送するとき、電話で搬送先にあらましは伝えますが、文書としても情報を伝える必要があります。患者氏名、生年月日、住所、電話番号といった診療に不要な個人情報は、黒塗りするなどわからないようにした上でFAXで送信します。