子供の思春期のころまでの血流量は大人の2倍近く

いささか余談ながら、実は食事について、もっと気をつけるべきは大人よりも子どもです。「糖質ダイエット」は論外ですが、とにかく食べればいいというものでもありません。例えば毎朝、主食に菓子パンというような食生活は、やはり避けるべきでしょう。

脳の血流は、使う部分を高速道路のように太くして、使わない部分をどんどん壊していく性質があります。まして子どもの場合、思春期のころまで、その血流量は大人の2倍近くもあります。それにより脳をダイナミックに形成しているわけです。

当然、その過程ではエネルギーとして大量のブドウ糖を使います。ところが、肝心のエネルギー源が菓子パンのように血糖値を一気に上げて下げるものだと、効率が悪いのです。

あるいは、「ジャンクフード」と呼ばれる食品ばかり与えるのも同様に問題です。子どものころから偏食させたり、肥満にさせたりしてはいけない。これらは糖分の問題というより、海馬の萎縮につながると考えられています。

やはり大人と同様、子どもの食事もご飯を中心にしたほうがいい。親はどれほど忙しくても、それくらいのケアを欠いてはいけないと思います。

ジャンクフード
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過度の食事制限はストレスのもと

食事について、極端に走ることがどれほどよくないかという例を、1つご紹介したいと思います。

定年退職後、糖尿病と診断された方がいます。「これではいけない」とばかり、一念発起してその後の食事からいっさいの糖分を断ってしまったそうです。

その甲斐あって、糖尿病はかなり改善したとのこと。ところが、それに反比例するように、常にイライラして落ち着かなくなったそうです。ご家族によれば、「性格が変わってしまった」と思えるほど。これはご本人にとってもご家族にとっても辛いでしょう。

この原因は、おそらくストレスだと思います。あまりストイックなルールで自分を縛ると、どこかに“はけ口”を見つけたくなるものです。健康に徹底的に気をつけることが、かえって不健康な日々をもたらしてしまうわけです。

逆に、暴飲暴食に走る方もいます。身体に悪いことはわかっているのに、むしろそれが快感になってしまうのでしょう。これも、根本にあるのはストレスだと思います。

あるいは、極端に散財する“買い物依存”やドラッグに走るのも同様です。ストレスが大きくなるほど、そこから逃れようとして、より大きな快楽を求めるのです。

快楽は人間の本能が求めるものなので、そう簡単には消えません。そこで重要なのが、日常のストレスをいかに軽減するかということです。

これについては、それぞれにいろいろ工夫されていることと思いますが、基本は建設的で明るいほうに意識を向けることです。

本書でも述べていますが、例えば没頭できるような趣味を持つのもいいでしょう。仲間内でお酒を飲みながら語らうのもいいでしょう。

私自身は飲まないので、お酒のよし悪しはよくわからないのですが、やはりコミュニケーションはストレス軽減の原動力になり得ます。

もちろん、悪酔いして周囲に当たり散らすようでは逆効果。自己嫌悪に陥って、余計にストレスを増やすだけです。多少ネガティブな話も笑い飛ばせるような、明るい酒席にすることがポイントです。