兵庫県明石市は、高校3年生までの子ども医療費や第2子以降の保育料など「5つの無料化」を実施している。前市長の泉房穂氏は「すべて所得制限なしにすることで中間層世帯が流入し、結果として大きな経済効果を生んだ。全世代が幸せになる子育て支援策は実現可能だ」という――。

※本稿は、泉房穂『日本が滅びる前に 明石モデルがひらく国家の未来』(集英社新書)の一部を再編集したものです。

兵庫県明石市の泉房穂 前市長
撮影=野辺竜馬
兵庫県明石市の泉房穂 前市長

議会、既得権益者、職員の反発は凄まじかった

私は明石市長として、これまで多くの政治家ができなかったことを実現しました。1つは「子どもは未来」を街づくりの基本方針に掲げた、数々の子育て施策。それらの施策により、子どもを応援すると街が元気になり、老若男女すべての人が幸せになることを示せたと思っています。

5つの子育て支援施策を「所得制限なし」の無料化にしたことで、明石市は全国的に有名になりました。ただ、これらの改革はスムーズにできたわけではありません。予算配分に反対する議会、それによって割を食う特定業界の既得権益者たちからの反発は凄まじいものでした。

子育て支援施策が結果を出し始める前までは、「お上意識」「前例主義」「横並び意識」に囚われた市役所の職員たちの反発も半端なく強いものでした。市の人事に関しては、「適時適材適所」を掲げて効率的に行っていったのですが、異動させられた職員からの不満も相当なものがあったと感じます。

本音を抑えていても「暴言市長」扱い

そんな反対勢力の一部が私の発言の一部を切り取り、不利な情報をマスコミにリークしたことで、私は「暴言市長」のレッテルを貼られたりもしました。

市長在任中はこれでも本音をかなり抑えていましたが、たしかに私は口は悪い。それは認めます。ただ、建前の空気にさして気を遣わない磊落らいらくな性格の私であっても、こうした四面楚歌そかの状況、反対勢力が起こす向かい風の強さには、正直「こりゃ、かなわん」と思うことも幾度もありました。

でも、後ろから大丈夫ですよと強く支えてくれたのは、多くの市民の方々です。全国で初という条例を私は在任12年間で10以上つくりましたが、それらはみな市民の力強い後押しがあったからこそ実現できたのです。