考えるより先に殴ってみよう

そもそも無理してコミュニケーションをとっても大抵はよくないことが起こります。

近頃の職場は、パワハラやセクハラに敏感で、人間関係が築きにくくなっていると言いますが、それでいいんです。「話せばわかる」なんて言って問答無用と撃ち殺された政治家もいましたが、どちらかといえば、話せば話すほど事態は悪化することの方が多い。

それに元来、「話せばわかる」とか言う人は、有利な立場にいるものです。立場が上だから周りが素直に聞いてくれているだけで、本当にわかってくれている人間なんてほとんどいません。

どうしても現状を変えたいということであれば、話すのではなくとりあえず殴ってみましょう。考えるのはそれからで構いません。考えるより先に殴る。もしかしたら警察に捕まるかもしれませんが、あなたが置かれている状況はきっと変わります。

結果的に人間関係も減って、生きやすくなるかもしれません。でもそこまでするほどでもなければ、何もしないで大人しくしていましょう。

本当の友達は「なぜか憎めないやつ」

読者の中には「友達を減らそう」という先述の内容を読んで驚いて、きっと別の意図があるのだろうと思うかもしれません。

それで「友達を減らそう」とは、あなたの人生を豊かにし質的に向上させる1つの戦略だろうなどと勝手に解釈することになります。

一般的には、情報がたくさん入ってくるから、困った時に助けてくれるかもしれないから、楽しいからといった理由で、友達は多い方がいいと思われている。しかしすべての友人関係が必ずしもポジティブな影響を及ぼすわけではない。

人間関係は相手の感情を気遣ったり、会話をする時間を作ったり、相手を理解しようと努力したり、エネルギーを使いますが、エネルギーは無限ではないので、効率化のために「友達を減らそう」と言っているのだろう、というわけです。

だから一度立ち止まって友人リストを見直して、自分を高めてくれたり楽しませてくれる人間を自分の立場を悪くさせたり時間やエネルギーを浪費させる人間から選別して人間関係の質を向上させるために友達を減らすんだろう、大切なのは自分自身にとって価値ある関係に投資するべきです、などと言い出すことになります。

しかし根本的な誤解があります。私にとって本当の友達とは自分にとって役に立ち一緒にいて楽しい人間ではありません。

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もちろん、友達が役に立ったり一緒にいて楽しかったりすることもあるでしょう。でもそれなら交通事故で全身麻痺で寝たきりになって言葉も不自由になったらどうでしょう。

本当の友達というのは、どんなに迷惑をかけられてもなぜか憎めない、電話に出ると面倒なことに巻き込まれるとわかっていてもつい出てしまう、他人から見ると、なんでこの人はあんなヤツと付き合っているのか、と不思議に思うような人間のことです。

そんな友達は滅多に見つかるものではありませんし、たくさんいたのでは身が持ちません。友達は少なくていい、というのはそういうことです。

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