人的資本は年をとるにつれて減っていく

金融資本と人的資本の割合は、年齢とともに変わっていく。

20代で社会に出た直後は金融資本はほとんど持っていないけど、そのうち貯金もできるようになって、それを運用することでだんだん増えていく。それとは逆に、人的資本は最初は大きいけど、年をとるにつれて減っていって、引退するとゼロになってしまう。この関係を見える化すると図表1になる。

金融資本と人的資本
出所=『人生は攻略できる』より

ここで、「なぜ人的資本は若いときの方が大きいの?」と疑問に思うひともいるだろう。これは人的資本が、「これからずっと働くことで、将来得られる収入の総額」のことだからだ。

大卒サラリーマンの平均的な生涯収入は3億円から4億円といわれている。これはスタート地点(大学を卒業したとき)で少なくとも3億円の人的資本を持っているということだ。定年退職して労働市場から退出すると、これがゼロになってしまう。

若者がお金持ちになるには働くしかない

実際はこれほど単純ではないが(将来なにが起きるかわからないから、そのぶんのリスクを割り引かなくてはならない)、20代の日本の若者なら誰もが1億円を超える人的資本を持っているだろう。いきなりこんなことをいわれてびっくりするだろうけど、これが「ゆたかな社会」に生きているということだ。

「お金を儲ける」というと、株とかビットコインを思い浮かべるかもしれない。もちろんこうした資産運用の知識もそのうち必要になってくるだろうけど、いまの君にはもっと大切なことがある。

若者は金融資本をほとんど持っていないけど(大学生で貯金が100万円あれば友だちは腰を抜かすだろう)、その代わりに1億円を超える人的資本を持っている。富を獲得するには、金融資本を金融市場に投資するか、人的資本を労働市場に投資するかの2つの方法しかない。

だったら、どうすればいいかは考えるまでもないだろう。君がお金持ちになるもっとも確実な方法は人的資本を運用すること、すなわち働くことなのだ。