夫婦別姓に賛成するなら選挙に落とすぞ

反対派の人たちの根底にあるのは「女性はこれ以上いばるな」という根強い思想もあると思っています。そういう人には、どんなことを言っても何を言っても、絶対に妥協しません。その証拠に反対派の団体は、何十年も前から選挙で落選運動を行い、「選択的夫婦に賛成するなら落とす」と圧力をかけることがあります。

このような話をすると、この制度に反対の議員ばかりが増え、法制化は絶望的に見えますが、最初に選択的夫婦別姓の議員連盟をつくったときに行動を共にしていた森山眞弓先生(故人)は「焦らないで。法律は変わるものだから」とおっしゃっていました。

また小池百合子さんが東京都知事になってから、女性でも行政のトップとして指揮を執ることができるということが証明されました。またこども家庭庁だって、私の構想から20年経って、ようやく創設されたのです。現状を変えるには、時間が必要だということです。

自民党衆議院議員の野田聖子氏
撮影=小林久井

自民党内に変化の兆しが見えている

これからの時代の主役は女性です。私はそれがわかっているから、明るく生きていられます。まだ可能性があるって思うんです。

その兆しは、自民党の中にも見えています。これまでは安倍晋三さんという保守派の支柱があり、私も含めて、みんなが安倍さんのことをリスペクトしていました。安倍さんは専業主婦を大事にしていたので、夫婦同姓、配偶者控除の維持、移民反対などが、自民党の価値観になっていました。

しかし亡くなって一年が経ち、自民党の空気がだんだん変わってきているのを感じています。

私たち選択的夫婦別姓を望む議員も、引き続き努力していきますので、読者のみなさんも、少しずつでいいので、この制度に関心を寄せていただきたいと心から願っています。

(構成=池田純子)
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