不景気のため、退職率が下がり、会社にぶら下がるローパフォーマーが増殖中。人事部長たちが人事の裏側を明かす。

何の取り柄もない文系学生はキツいね

【化学】09年12月1日現在の大学生の就職内定率が68.8%。1996年度の調査開始以来最低の水準と言われている。でも騒がれているわりに、上位校はむしろ状況がいいのではないか。大手企業は上位校に採用が集中し、逆に下位校は内定率がどんどん下がっているのが実態だ。うちも採用数が減少する中で、早い段階で上位校の学生を囲い込み、その中から絞り込む傾向になっている。

【金融】上位校の学生がすべて欲しい人材というわけではないが、確率論として質の高い学生が下位校に比べて多い。うちは会社主催の説明会に参加しないと面接試験に進めない。エントリーした学生に対し、普通は一斉に説明会の通知を出すことになるが、最初からオープンにすると、わずか1日で定員が埋まってしまう。だから上位校の学生から段階的に通知を出して、席がそれなりに埋まってきたところでフルオープンにして募集をかけている。説明会に応募者全員を呼ぶ余裕がない。

【サービス】今、大学側や経済同友会などは選考を8月以降にしようと言っている。もちろん教育上はいいかもしれないが、逆に下位校は後がなくなり、未就職者が増えるのではないか。

【IT】そう。現状の就職戦線は4月の選考で上位校中心に有名企業の内々定が決まり、ピークを過ぎた5月の連休明けから中堅・中小企業の選考に中堅・下位校の学生が参加するという構図になっている。仮に8月以降の選考開始になると、すべての大学が一斉に動きだすことになる。しかも、勝つのは上位校であり、中堅・下位校は後がないだけに、後ろ倒しの選考は避けたいという思いもあるようだ。

【通信】上位校と下位校の二極化傾向だけではなく、学生の質自体も二極化している。企業のグローバル化が避けられないのに、日本の学生は、海外に行くのは嫌だとか、評価されて差がつくのは怖いから年齢で給料が上がっていく公務員がいいとかいう人が多すぎる。中国の大学に直接出向いて採用活動をしているが、たとえば北京大学の学生はものすごく勉強している超エリートで、会う人間すべてが日本の東大生と違ってハングリーなんだ。彼らと話していると、ああこのままでは日本は危ないなと思ってしまう。