メールの返信が来ないときはどうすればいいのか。アップル・ジャパン元社長の山元賢治さんは「24時間以内に相手からリアクションがなければ、すぐに電話をかけるべきだ。電話で話して『何かがおかしい』と感じたのであれば、すぐにFace to Faceのコミュニケーションに移行し、相手の真意を確認する必要がある」という――。

※本稿は、山元賢治『世界の先人たちに学ぶ 次世代リーダー脳』(日刊現代)の一部を再編集したものです。

米アップルのスティーブ・ジョブズ氏(右)と後任の最高経営責任者(CEO)のティム・クック氏
写真=EPA/時事通信フォト
米アップルのスティーブ・ジョブズ氏(右)と後任の最高経営責任者(CEO)のティム・クック氏=2007年8月7日、アメリカ・カリフォルニア

プレゼンテーションで一番大切なこと

日本の多くのビジネスパーソンのプレゼンテーションを見ていて感じるのは、「対話になっていない」ということです。ご自身で作ったか、それとも部下に作らせたのか、どれくらいの時間をかけたのかはわかりませんが、たいていのプレゼンテーション資料には文字がびっしりと書いてあります。その内容を一言一句たがわず読み上げているが、聴衆は居眠りをしているか、上の空になっている……そんな光景をよく目にします。

プレゼンテーションでは1対Nで情報発信することが多いもの。会議と同じく、N人分の時間をいただいているわけですから、発言者が悦に入って長々と話している間にも人件費は発生しているのです。そのことを理解してプレゼンテーションに臨んでいる人がどのくらいいるでしょうか?

プレゼンテーションで一番大切なことを聞かれたら、私は次のように言います。

どうしても伝えたいことがあるときにだけ、人の前に立ちなさい。強い想いがないのに聴衆の貴重な時間を奪うのは迷惑です――と。発言者のメッセージが聴衆の期待とズレているケースも然りです。

メモや台本は作らず、聞き手の反応を見て話す

的確な話題を選び、十分に準備をして論理的に話を進めていても、プレゼンテーションを始めてみると、聴衆の反応が芳しくないと感じることもあるかもしれませんね。

そんなときは「相手は何を求めているのか」にアンテナを立てましょう。自分の話したいトピックは短めにして、聴衆の求めている内容へとシフトします。

逆に、自分の想定以上に聴衆の反応がいいようであれば、その話題を厚く話すという機転も必要でしょう。

要するに、プレゼンテーションは一方通行の朗読ではなく、聴衆との真剣な対話であるということ。自分が伝えたいことがあるときにだけ、聴衆の時間をいただく。聴衆の受信の度合いによって、自分からの送信量を調整する。プレゼンテーションは対話であり、キャッチボールなのです。

聴衆の反応を見ながら柔軟にプレゼンテーション内容を変えるのは、最初のうちは難しいかもしれません。ですが、何度も経験を重ねるうちに、相手の表情を見る余裕が生まれ、当意即妙なアレンジができるようになります。その場、その場での対応ができるよう引き出しの数を増やすとともに、一つひとつの引き出しをより大きく、深いものにしていきましょう。

ポイントは、各ページ(スライド)で確実に伝えたいポイントを最大3つに絞り、スライドに入りきらない行間を口頭で話すこと。あくまでメモや台本は作らず、聞き手の反応を見ながら話すことを大切にしてください。