傷んだ着物や帯は小物を作る友人に

母も年を取っていたため、実は着物の管理などできていなかった。きれいに取ってあったのは高価な新しい着物だけで、多くはシミが付いたまましまわれていて、黴臭かった。

和ダンスだけでなく母の衣装ケースには、まだまだ山のように着物や帯、和装小物があった。

母の死後、佐藤先生から次々に段ボールで送られてきたそれらを、私は半年かけて、事務所にて仕分けして風を通し(家には猫と小さい子どもがいるからムリ)、クリーニングが必要なものはして、いらないものは静岡の夫の実家に送った。

義母の友達が古い和服や帯でインテリア小物を作っているというから、使ってもらったのだ。リサイクル着物屋さんにも見に来てもらったが、全部でたった3000円と言われたので、売るのをやめた。まだ知り合いに楽しんでもらったほうがいい。母も浮かばれるというものだ。

着物は高価だが、売るときは二束三文

着物は、買ったときは高額だが、売るときは二束三文。少しでもお金にしようと思ったら、フリマアプリなどで売る手もあるが、発送も取引も面倒なので、近くにいる人に差し上げるのが一番だ。

毎月、お茶のお稽古で着物を着る私ですら、必要な着物は限られている。

着物を着た日本人女性がひざまずいて茶道の物を用意している
写真=iStock.com/ShaneQuentin
※写真はイメージです

「いやぁ、これはとっておいても着ないだろうな」という着物は、着る人に差し上げることにしている。最近着付けを習い始めて、これから着物生活を始める、というような友人に。

私もお茶の師匠の若い頃の着物などいただくが、アラカンなので、いまは娘にお仕着せている。こうやって着物は循環するので、減ることはない。ただ管理は大変だ。どこに何がしまわれているのかも、ときどき出し入れしないと最早忘れてしまうし、帯や着物自体重いので、これからはもっと大変な作業になるだろう。

気力、体力あるうちに、着物の整理、しておいたほうがいい。

遺品整理の手順
残す物の数や量を決めてから、3つのステップで進めましょう。
①スケジュールを立てる
②仕分ける:思い出の品、貴重品等残すもの、手放すものの3つに分ける
③手放すものを業者に引き渡す、処分する、譲渡する、のいずれかに分ける