脳が覚醒していないと「つらい」が生まれる

脳には、働きが落ちるとネガティブな感情を生み出す、という特性があります。

みなさんは、「喜び」の対義語を聞かれたら「悲しみ」あるいは「憂い」と答えることでしょう。言葉の意味としては正解です。

しかし、脳活動にとってポジティブの反対はネガティブな脳活動ではありません。「喜びを生み出す脳活動」と対をなすように、「悲しみを生み出す脳活動」があるわけではないのです。

ポジティブな感情は脳が元気に働くことで生まれます。一方、ネガティブな感情はというと……シンプルに脳が働かないことで生まれるのです。

これらの特性も、脳の仕組みと「こころ」の関係から生まれるものです。「悲しい」「つらい」「不安」「しんどい」……といったネガティブな感情は、「脳が覚醒していないこと」が原因です。

大失恋をした悲しみも、パワハラのつらさも、明日の会議への不安も、過重労働のしんどさも、ストレス源がなんであれ、脳の状態は同じです。「脳が働いていない」ことが原因なのです。

ネガティブ感情の負のループが完成

フラストレーション(欲求不満)も、脳が働かないことに対する「苛立ち」という自己認知です。

入ってきた情報を正しく理解したり、過去の記憶を引っ張り出して参考にするといった、自己認知の脳の働きが鈍っているとき。また、脳番地の連携がうまくいっていないとき。そんなときの脳は、パソコンに負荷がかかりすぎ画面上に円が現れて、「くるくる」と回り続けている、あの状態と同じです。

失恋やパワハラといった環境ストレスが先か、自分の脳の働きが悪くなるのが先か、それは一概には言えません。仕事が忙しくて睡眠不足が続いて脳が覚醒しなくなり、次第にネガティブな気持ちに支配されることもあるでしょうし、耐えがたいストレスに襲われ、脳が考えることをシャットダウンしてしまう、ということもあるでしょう。

いずれにせよ、「脳の働きが悪くなる」から「ネガティブな気持ちになる」、「ネガティブな気持ちになる」から「脳の働きが悪くなる」という負のループにハマってしまいます。