「いい人」に見えて、他人に合わせているだけ

左脳感情も右脳感情もバランスよく成長している人は、周囲に気を配りながらも自分自身のことも尊重でき、自らの意思で行動することができます。一方、左脳感情が弱い人は、「私の感情」が生まれません。当然、「楽しい!」「嬉しい!」と思えることが少なくなり、「なんとなく」さまざまなことを受け入れたり、行動をしたりしてしまいます。

たとえ、「楽しい」という気持ちが芽生えたとしても、他者感情に同調しているにすぎない場合が多くなります。その結果、一見、能動的な選択でもそこに自主性はなく、自分の人生がどこか他人事になってしまうのです。

また、周りのことを気にしすぎて、自分が出せなくなることもあります。右脳感情と左脳感情の差が大きくなると、周囲に対し過剰なまでに気を取られ、それがストレスとなって蓄積します。

右脳――他人の感情を察知する共感力が高いので、職場や学校でも周りの意見を尊重し、気配りができる「いい人」が、じつは自己感情がないがゆえに、他人に合わせているだけ、ということもあります。

「私は私でいい」と受け止めることが必要

・人からどう見られているか気になって仕方がない。
・「どうしたい?」と聞かれるのが苦手。
・自分から、「やりたい!」「やろう!」と動くことがほとんどない。
・自分に自信がなく、小さなことでも不安を覚える。
・とくに楽しみもなく、表情が乏しい。

こうしたことに心当たりはありませんか?

このタイプは、多かれ少なかれ、自分のことがよくわからなくなります。私のクリニックにも、「何をしたらいいかわからない」という30歳を超えた方が相談にやってきます。

いわば、「自己感情」にぽっかり穴が開いている状態。他人の感情に対しては過敏なのに、自己感情が育っていないのです。

加藤俊徳『一生成長する大人脳』(扶桑社)
加藤俊徳『一生成長する大人脳』(扶桑社)

あるいは、自己感情の居場所が少なくなっているのかもしれません。「あなたらしさ」は誰もがもっています。「私は別に普通だし」と言う人でも「あなたらしさ」はあります。なぜなら、脳は一人ひとり、すべて違うからです。

しかし、それが周囲の環境もあって自覚できなかったり、肯定的に受け止められなかったりすることが問題なのです。もともと日本人は謙虚であることを是とする国民性ですが、己を否定すること、認めないことは謙虚でもなんでもありません。

「私は私でいい」という思考が必要なのだと思います。ただし、家にこもって「自分はこのままでいい」と言っているのは、自分を認めることとは違います。自己感情を自分で受け止めるためには、自分のことを(ある程度)正しく知ることが不可欠だからです。

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