好業績を続ける「餃子の王将」。王将フードサービスは全国に555店舗を擁しているが、うち2店では女性店長が采配を振るう(※雑誌掲載当時)。王将史上初めて、女性の店長になったイオン金沢示野店の戸塚由華店長に話を聞いた。

餃子の王将
イオン金沢示野店 店長
戸塚由華

朝日大学卒。「金沢の店を志望したのは当時付き合っていた彼氏がいたから」。

戸塚さんが店長になってから、示野店は前年比約120%の利益を出し続け、2009年には「優秀店長」の表彰を受けた。

「学生時代、マクドナルドでバイトしてから、接客の仕事が好きになりました。それで、外食産業ばかりを受験し、最終的に王将に決めました。理由は志望する女子学生が少ないだろうと思ったから」

彼女が入社した当時、同社は体質改善を進めている最中で、決して順調に利益を上げていたわけではなかった。それでも、彼女はあえて餃子の王将を選んだのだった。

「店舗で働きたい」と訴えた彼女は入社後すぐに石川県野々市店に配属された。1年ほどは、ホールでサービスを担当し、その後、調理場へ。麺類から、料理修業を始めた。

「最初から餃子は焼かせてもらえません。何といっても餃子は王将の魂ですから。麺類、揚げ物、炒め物ができるようになって、初めて焼かせてもらえるようになります。私は不器用でどんくさかったから、調理場では火傷ばかりしていました。後輩の女の子が入ってきたとき、『戸塚さんの腕の火傷、根性焼きですか』と聞かれたくらい、火傷して料理を覚えました」

戸塚さんの登場に最初は先輩料理人たちも面食らったようだった。当時の調理場は男の世界で、怒号が飛び交うこともあった。ところが、若い女性が入ってきたことで、料理人たちは戸惑い、彼女に対して遠慮する先輩もいたのである。そんな微妙な空気を察した戸塚さんはきっぱりと上司に言った。

「女性扱いしなくて結構です。男の後輩に教えるつもりで同じようにびしびしやってください」