会社を慕うことは悪いことではないが…

「ヤクザと一緒」「この人、友達いなさそう」「読んでて腹が立つ」
「当たり屋でもやれば?」「この記事は作り話」「訴えずにとっとと辞めろ」

私は可能な限り、執筆した記事に対するコメント(ヤフーニュースやツイッター(現X)など)にリアクションするよう心がけている。しかし、このような批判を目にする機会も多く、軽く傷ついている。

7月に書いた記事〈解雇通知書はカネになる…2社から裁判で計4700万円を勝ち取ったモンスター社員の「円満退社」の手口〉では、「この記事は作り話」とか「訴えずにとっとと辞めろ」といったコメントが散見された。

前者に関しては獲得金額が大きいため、納得できないが理解はできる。しかし後者に関しては大金を手にしたことへの嫉妬心だけでなく、日本人特有の「会社を信頼しすぎている問題」が隠れているように私は感じている。

別に会社を親のように慕うことが悪いといっているわけではない。だが、過度な信頼を会社に抱くことで、逆に、自分の人生を不安定にしてしまう可能性も高いのではないか。

オフィス街を歩く人々
写真=iStock.com/ooyoo
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日本人が会社を信頼してしまう3つの理由

例えば会社員の特権として年功序列と終身雇用が挙げられるが、少子化と人口減少が進み、大量の高齢者が希少な若年層を圧迫している日本社会において、今後も年功序列を維持することは難しい。終身雇用に関しては、私が証明した通り解雇のハードルが高いため今も健在しているが、その企業が未来永劫えいごう存続するという困難な前提に立たなければならない。

雇用慣行が機能不全を起こしつつあるにもかかわらず、なぜそれでも多くの日本人は「会社への信頼」を失わないのだろうか。私は大きく3つの問題があると考えている。

・同調圧力の問題
・教育の問題
・会社と戦うことに関する情報不足の問題

まずは、なぜブラックな職場でも我慢して働いている人が多いのかを想像してほしい。誰しもパッと思いつくのは「お金のため」「転職活動が不利にならないため」といった回答を推測するが、おそらくこれらの理由は表層的だ。

スタンフォード大学教授のジェフリー・フェファー氏が書いた『ブラック職場があなたを殺す』(日本経済新聞出版)によると、悪しき職場でも辞められない人にはプライドの問題があると指摘されている。