子どもを緊張させてしまう親のタイプ

親が子どもを緊張させる要因は、2つ考えられます。

1 親の不安が強い

子どもから見て、傷つきやすく壊れやすそうな母親は、とても反抗できない、自己主張できない存在です。自己主張すると、ママはつらそうな顔をするから、決してそんなことはしないんだと思っている子どもは、幼児期からけっこうたくさんいます。

不安の強い親は「子どものため」と言いながら、実は自分が安心するために、あれやこれや先のことばかり心配したり、先回りして手を出したりする傾向があります。のちに子どもが元気に学校復帰できた際に「私の方がいつも先回りして不安になっていたんですね。変わるべきはあの子ではなく私でした。」とおっしゃったお母さんがいました。

いずれも母親が自分の問題と子どもの問題を切り離せず、子どものパフォーマンスによって、自分自身もぐらぐらする、それが子どもの心を知らず知らずのうちに縛り、緊張させていたのです。

2 親が理想像に当てはめようとする

もうひとつは、自分の理想像に子どもをかっちりと当てはめようとする親です。これは父親のほうに多い傾向があり、子どもの生き方をガチガチに決めてしまって、それに当てはまらない子どもを厳しく叱ったり、つき放したりします。

そして、そういう父親は、子どもがうまくパフォーマンスを示さないと「お前は子どもに何をやっているんだ!」と今度は母親を責め始めます。「あんたに何がわかるのよ」と言い返せる母親ならよいのですが、たいていは黙ってしまう。黙るだけならまだしも「あんたのせいで私がパパに怒られる」と、子どもを叱責しっせきする母親もいて、そうすると子どもは母親の向こうにいる父親に縛られてしまいます。縛られながらも子どもは恐れと同時に、怒りも感じています。

でも子どもにとって、そういう父親は絶対に歯向かえない、こわいお父さん。ですから、子どもは、だんだん抑うつ的になって力を失ったり、失敗するんじゃないかと不安が強くなったり、もっと残念なのは、自分を傷つけることで怒りを表現しようとするようになります。リストカットなどの自傷行為もそうですし、物をたっぷり与えられているのに、人の物を盗むようになる。こうした父親は子どもの健やかな発達を阻害する環境をつくってしまうのです。