ギリシャ神話には「ぶっ飛んだエピソード」がたくさん登場する。新刊『ぶっ飛びまくるゼウスたち』(実業之日本社)から、「パンドラの箱に希望だけが残されていた理由」のエピソードを紹介しよう――。

※本稿は、こざきゆう、真山知幸(著)、庄子大亮(監修)『ぶっ飛びまくるゼウスたち』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

アテネにある国立アカデミーの建物の彫刻
写真=iStock.com/rabbit75_ist
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天ではなく地上で暮らす変わった神プロメテウス

プロメテウスは、ミョーに人間の味方をする、ちょっと変わった神様だ(ふつう、神様は人間にバツをあたえたり、たまに味方したりする)。ギリシャ神話では「オリュンポス12神」と呼ばれる神々が有名だけど(ゼウスもそのひとり)、その前に世界を治めていたのが、「ティタン神族」だ。プロメテウスは、そのティタン神族の子孫にあたる。

「オリュンポス12神」が世界を治めたとき、プロメテウスがどうしていたか、と言えば、すでに天ではなく地上で暮らしていた。そこからして、すでに人間っぽい。

そして、ある重要な問題をゼウスと話しあうときにも、めちゃくちゃ人間をひいきして、伝説になっている。

その話しあいとは、「けものの肉を神と人間でどうわけるか?」というもの。「神様だったら人間に肉をくれても、いいじゃん……」と思っちゃうけど、神様もそこはしっかり食べたい。

そんなときもプロメテウスは「なんとか、人間に良い肉を食べさせたい」と考えたというから、人間からしたらプロメテウス様様って感じだ。そしてプロメテウスは、人間のためにゼウスをだまそうとまで考えた。気持ちはうれしいけど、だいじょうぶ?