なぜメガバンクが人員削減したのか

さらに、「プロジェクト的な仕事」を今後ますます増加させる大きな要因があります。

それが、AIやRPAです。

AIはご存知の通り、ChatGPTのような人工知能のこと。RPAはRobotic Process Automationの頭文字をとった言葉で、簡単に言えば「ホワイトカラーの定型業務を自動化するテクノロジー」です。

これらは業務の効率化や人手不足の解消を目的として多くの企業で導入が進んでいますが、特にRPAはAIより導入コストが安いこともあって、急速に普及しています。

RPAは、人間が設定した一定のルールに従って作業をこなします。

例えばサラリーマンなら誰もがやっている交通費の精算も、ICカードをかざすだけでデータを読み取り、入力もチェックも自動的に処理してくれます。

他にも日常業務の中には人間が手を動かして入力や処理をしなくてはいけない事務作業がたくさんありますが、これらはすべてRPAが代行してくれるようになるでしょう。

しかも、その変化はすでに始まっています。いずれやってくる話ではなく、今日あなたの会社で起こってもおかしくない変化なのです。

先ほど私が「ホワイトカラーのルーティンワークはいずれ消滅する」と言ったのは、それが理由です。

2018年に入ってから、メガバンクが相次いで大量の人員削減計画を発表して話題となりましたが、これもルーティンワークの激減を見越したものです。

窓口での単純な手続きやそれに伴う事務処理は、すでに大半が機械に置き換わっています。となれば、その業務を担当していた人員は不要になります。

ゼロ金利などの影響で銀行も経営環境が厳しくなっていますから、大胆なリストラをしてでもコスト削減と業務の効率化を進めなくては生き残れない時代になったということです。

銀行の看板
写真=iStock.com/y-studio
※写真はイメージです

人間が任される仕事とは

では、AIやRPAの導入が進んだら、人間にはどんな仕事が残されるのか。

その答えが、「プロジェクト的な仕事」です。

「定型的で繰り返しの作業」が機械に置き換われば、残るのは「非定型で複数の人が関わる仕事」だけです。つまり、「プロジェクト的な仕事」こそが「AI時代の仕事」だということです。

それは同時に、「プロジェクト的な仕事」ができない人には、機械に仕事を奪われるというシビアな未来がやってくるということでもあります。