特定の金融機関に所属しない「独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)」が増えている。マリブジャパン代表の高橋克英さんは「IFAは自称で、法律上は金融商品仲介業者という。独立的・中立的な立場でアドバイスをしてくれる一方で、顧客の獲得や営業手法が不透明な業者も多い。利用者が安心できるような環境の整備が必要だ」という――。
ファイナンシャルアドバイザーの話を聞く人
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新しいNISA導入で高まる資産運用への関心

岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」では、貯蓄から投資へのシフトを進めるため、NISA(少額投資非課税制度)の拡充、顧客本位の業務運営、金融経済教育の充実といった総合的な取り組みを進めている。

特に、NISAについては、制度がごちゃごちゃしていて不評だったが、①一般NISAとつみたてNISAを一本化、②非課税期間を無制限にし、③年間投資上限額を最大360万円、生涯にわたる非課税限度額も1800万円に増やし、2024年1月から「新しいNISA」に生まれ変わる予定だ。

人生100年時代、物価高になかなか上がらない給与所得、公的年金への不安もあるなか、足元の日経平均株価の上昇など明るい話題もあり、老若男女問わずNISAをはじめ資産運用への関心は高まるばかりだ。

ネット上でも新しいNISAの解説や、今後の日経平均株価の予想、どの金融機関がお得か、といった記事や動画で溢れかえっている。

銀行、証券会社、ネット証券以外の選択肢

個人が資産運用を行う際に、選択肢となるのは、①メガバンクや地銀など銀行、②証券会社、③ネット証券やネット銀行が挙げられよう。

①②の既存の銀行や証券会社は、対面サービスを受けられる安心感がある一方、営業担当者には当たり外れがあり、助言や投資情報はありきたりで、商品説明や手続きも長かったりする。今年6月には、千葉銀行・千葉銀行傘下のちばぎん証券・武蔵野銀行が、ハイリスク商品である仕組債を投資初心者に販売したとして、金融庁より業務改善命令を受けた。このように、顧客のニーズより銀行の収益を優先するといった話も見聞きする。

③のネット証券は、営業担当者に惑わされることなく、自らスマホを利用して安く早く取引ができ、商品ラインナップも豊富だ。一方で、対面サービスは原則ない点が、なんとなく不安でもある。

こうしたなか、第4の選択肢として、既存の銀行・証券やネット証券・ネット銀行ではなく、④IFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)に相談するケースが増えているという。