地方や郊外なら「一生賃貸派」も成り立つ

一生賃貸派も増えているようですが、成り立つ可能性はあると思います。それは、地方や郊外への移住です。

地方や郊外に行けば家は余っており、激安の家賃で住めます。人口減少が叫ばれていますが、死者数内訳の多くは高齢者で、彼らの家のほとんどは持ち家です。子は不便な場所の実家は継ぎませんから、親が亡くなり相続で引き取っても買い手が現れず持て余します。

なので激安の家賃で借りられる可能性が高く、これなら年金が多くなくても十分賄えるでしょう。

しかし、地方や郊外は車がないと買い物も病院へ行くのも不便で、高齢になると運転も不自由になるから困るのでは? という意見もありますが、買い物の不便さはネット通販やドローン配送で解消されます。また、あと10~15年もすれば、自動運転車によって自分で運転しなくても自動でどこにでも行けるようになると思います。

なので現役を退いたあと地方に移住することで、一生賃貸でも暮らすことが可能になる、というのが私の予想です。

都市部で「一生賃貸」は厳しい

ただし、便利な都市部で暮らそうとすると、一生賃貸は厳しいかもしれません。

そもそもの家賃が高いので、限られた年金の中から捻出するのはかなりの負担だからです。また、孤独死などを恐れて大家さんが一人暮らしの高齢者に貸すのを渋る可能性が高くなります。すると、大家が契約の更新時に値上げしてくるとか(値上げが嫌なら退去してくれて構わないから)、そもそも貸してくれないということが起こり得ます。家賃のせいで生活がカツカツになるのは本末転倒ですし、値上げで払えなくなってほかに移りたくても貸してくれないという状況はなかなか辛いでしょう。

老夫婦の資金の計算
写真=iStock.com/eggeeggjiew
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