電車の切符を買うのに大行列

こうしたやや寂しい空港の“残念感”を助長しているのが、二次交通とも呼ばれる電車の使い勝手の悪さである。

想像してみてほしい。ときに14時間(*) にも及ぶ長いフライトを経て到着したあなたは、スイスイと進む日本人と再入国者専用レーンを横目に出入国管理の長い列を待ち、受け取った大きな預け荷物を携えて成田空港駅へ向かう。すると、大行列が待ち受けているのである。

*ロシア上空が飛べない現在、欧州からの直行便は軒並み飛行時間が長くなっている。たとえばロンドン⇒成田は、かつて平均11時間40分だったが、現在は平均14時間15分である。

空港の出入国管理に並ぶ人々
筆者撮影
「ジャパン・レール・パス」の購入のために並ぶ外国人旅行客

行列のうち多くの人が「ジャパン・レール・パス」と呼ばれる主に外国人旅行者向けの周遊チケットの受け取りを目的としていると予想される。便利なはずのチケットのために、何十分、ときに何時間と並ばされるのである。

先ほど「期待値」のことを書いた。

外国人旅行者の目線からすると、日本は技術大国であり、当然ながらこうしたチケットも技術を通じてシームレスになっていることを期待している。

しかし、実際にはアナログでの確認作業等が不可欠で(もちろんそれだけが原因ではないが)、長い行列が生まれている。これは疲れた体に非常に堪える。日本の第一印象が悪化しかねない状況だ。

本当に日本は技術大国なのか

こうした事態は何も成田空港に限った話ではない。たとえば中部国際空港セントレアにある名鉄線中部国際空港駅では、2つある(実際には3つだが、1つは閉じていた)有人窓口のうち、1つは現金決済のみであった。空港と名古屋市内を結ぶ重要な駅であるにもかかわらずである。

他方で、たとえばイタリアの北部の都市・ボローニャでは、マルコーニ・エクスプレスと呼ばれる空港モノレールが走っているが、チケットを窓口で買う必要がない。クレジットカードをかざすだけで乗ることができるのである。

ボローニャ空港から市内へ向かう電車の改札。窓口で切符を買う必要はない
筆者撮影
ボローニャ空港から市内へ向かう電車の改札。窓口で切符を買う必要はない

外国人旅行者は、空港に着いてホテルに到着するまではスーツケースなどの大きな荷物を抱えている。財布から取り出したクレジットカードで「ピッ」とするだけで市内までアクセスできるのは、非常にありがたい限り。

実は、こうしたキャッシュレスかつチケットレスの動きは日本でも増えている。代表的なのが「Visaのタッチ決済」を活用したもので、2020年7月から茨城交通が一部のバス路線で導入したのを皮切りに、2021年には南海電鉄が実証実験を行うなど、導入する公共交通機関は拡大している。

もちろん処理速度の面などから、既存の交通系ICカードのほうがよいという意見もある。しかし、真の観光立国を目指すのであれば、外国人旅行者の二次交通にまつわるストレスは極力減らす方向で改善を進めていきたいところ。

「チケットオフィスに行列ができる」というのは技術大国という評価を得ている日本にとって百害あって一利なしだからだ。