過酷な労働環境でもトラックドライバーが仕事を辞めない理由

トラックドライバーの労働環境は、とても過酷だ。理不尽なことも多いのに、世間からその存在も、その問題もほとんど注目されない。

私は普段、そんなトラックドライバーからの声を拾いながら記事にしているのだが、その度に目撃するのが「そんな業界が嫌ならやめればいいだけのこと」といった「非トラックドライバー」たちからのコメントだ。

過酷な労働環境を訴える記事に対して、「ならやめればいい」と即レスできる人らは、いったいどれほど“優良”な職業に就いているのか確かめてやりたくなるのはさておき、トラックドライバーは、「どんなに過酷でも、それ以上に続けたくなる理由がある」職業だというのは、私の経験から断言できる。

実際、現在日本の物流を支えている多くは、「トラックドライバー歴30年」みたいな人たちだ。彼らが過酷な労働環境でも何十年もトラックを降りない理由はこれしかない。

「トラック(の運転)が好きだから」だ。

身も蓋もない回答を最後にぶっ込んでどうする、とも思うんだが、これほど過酷でもトラックに乗り続けることを考えると、その「好き」の程度が相当なものだという想像はつくだろう。

トラックドライバーたちに聞いた、「過酷でもトラックを降りない理由」を紹介していきたい。

仕分け作業をする男性
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです

完全個室、冷暖房完備、全国各地のグルメを楽しめる

①人間関係などのしがらみがない

仕事とプライベートの境界線が薄くなる環境というのは手放しで喜べないのだが、現状、そういう環境だからこそトラックドライバーを続けているという人が非常に多い。

「車内」という完全個室にいながら、全国各地のグルメや旅行を楽しめる。行動範囲が非常に広く多趣味という、ある意味究極のアウトドア派。「カネもらって趣味やらせてもらっている感じです」というドライバーも少なくない。

「単純にトラック好きだからですかね。あと運転も好きだし冷暖房完備個室電話し放題音楽聴き放題最高」
「前職が車のセールスや店舗運営、営業で毎日数字との戦いで20年近く神経が疲れてましたが、トラックに乗り始めて、これら一切から解放されました。あの日々に比べたら長時間運転や真夏のバラ仕事すら大した苦労と感じません」