本当の意味でのリスク管理能力が問われる

リーマンショック後と異なり、世界的に物価は高止まりしている。米欧の中銀にとって、景気減速や後退に配慮し、金融政策を緩和に転換することは難しい。むしろ、金融引き締めの長期化懸念によって金利上昇が懸念される。世界全体で個人消費や設備投資は減少し、株価が下落するリスクも高まるだろう。

そうした展開が現実のものとなれば、SBGの業績不透明感は高まるだろう。ビジョンファンドは相対的に成長期待の高いスタートアップ企業などに資金を投じた。金利上昇などによって世界の金融市場でリスク回避の心理が強まれば、スタートアップ企業の株価下落圧力も高まるだろう。

6月下旬、AI成長期待は行きすぎと考え、IT先端銘柄を手放す投資家も増えた。物価、地政学リスクなど複合的な要因を背景に世界経済の先行き不透明感上昇を警戒する投資家も多い。

当面、SBGは投資先企業の財務体力、成長性をより詳細に検証し、リスク管理を徹底するだろう。それによって業績の安定性を高めつつ、SBGはアーム上場のよりよいタイミングを見定め、AI利用拡大による成長加速を目指すと予想される。今後、SBGの本当の意味でのリスク管理能力が問われることになる。

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