株主総会後の事業説明会で感じた社長の熱意

株主総会のあと、あらためて事業説明会などを行う会社もあります。この事業説明会が印象的だった会社もあります。メディアフラッグの名で創業し、のちに社名変更したインパクトホールディングスも、そうした会社の1つです。

もともとはスーパーなどで値段をデジタル表示するタグなどのデジタルサイネージと、覆面調査を行う会社でした。それが突然インドでコンビニ事業を始めるという話が会社四季報に載った頃の話です。

あまりに唐突な話で、株価もそこから大暴騰していきました。真意を探ろうと株主総会に出席したところ、福井康夫社長の説明はデジタルサイネージや覆面調査で得た小売りのノウハウを生かして、インドにコンビニエンスストアを出すというものでした。

びっくりしたのは、株主総会が終わると福井社長が壇上から降りてきて、参加者全員に名刺を配りだしたのです。こんな光景を見るのは初めてで、事業にかける熱い思いを感じました。

コンビニの存在しないインドマーケットの魅力

その後、事業説明会が開かれましたが、これが非常にインパクトのあるものでした。

進出にあたり、インドの大手財閥と手を組むという話で、インドは人口が多いだけでなく、まだコンビニが存在していないため、そのマーケット規模はとてつもなく大きいとのことでした。

ジョードプル市場でのラッシュ(インド)
写真=iStock.com/xavierarnau
※写真はイメージです

あとで聞いた話では、インドのコンビニ事業は、その後、二転三転して非常に苦労したようです。一因として、共同開発をもちかけたインドの財閥の娘婿が、突然自殺してしまったことがあります。株価もストップ安にまでなり、さらにコロナ禍も相まって、インドどころではなくなってしまいました。

このときに社名もインパクトホールディングスに変えたのです。その後、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開にしたので、もう株は持っていませんが、あのときの事業説明会の社長の姿は忘れられません。