減量には成功したがすぐにリバウンドしてしまった

うら若き頃の話です。結婚式の少し前に妻の友人に笑顔で「ぽっちゃりしてますね」といわれて、男のプライドがすっかり傷ついた私は、「よし、格好いい新郎になってやる!」と一念発起してダイエットしました。

今から30年も前のことなので、当時は糖質制限という言葉はありませんでしたが、「ご飯やパンが太る原因だろう」と思い、間食はもちろん食べない、主食もどんどん減らす、今でいうところの糖質制限ダイエットを実行したのです。

そうすると、結婚式の頃には見事にやせていました。指輪もサイズが合わなくなって買い替えて、タキシードも2サイズくらい下げたでしょうか。自分史上いちばんやせて、60kg近くまで体重が落ちました。ただ、体重こそ減りましたが、やせて格好よくなれたのかというと、逆でした。

鏡の前に立って「えー」と驚いたことを覚えています。まるで、やせこけたおじいちゃんみたいだったのです。ただ食事を減らすだけでまったく運動もしていませんでしたから、脂肪だけではなく、筋肉もすっかり落ちてしまったのですね。しかも、蕁麻疹じんましんが出るなど体調も悪くなって、さんざんでした。そして、当然ですが、すぐにリバウンドしました。それも、もとに戻ったわけではなく、さらにうれしくない体型になったのです。

筋肉と脂肪の両方が落ちたところに、リバウンドして脂肪だけがついたので、さらにぷよぷよ体型に。若いときには安いハムだったのが、リバウンドして脂肪が増えた結果、霜降りの高級ハムに変わってしまったのです。霜降りハム体型のまま、30代半ばには79kgまで増えました。

体重計の前に座り込み顔を覆っている女性
写真=iStock.com/Tero Vesalainen
※写真はイメージです

リバウンドしにくい「なんちゃって糖質制限」

この頃はクリニックの開業と3人の子育てに夫婦ともども追われていた頃。しかも私は霜降りハム体型だったので、とにかく疲れやすくて、当時は歩こうという気力もありませんでした。現在はというと、体重は66~67kgをキープしています。ピーク時よりも10kg以上減りました。結婚式の頃の60kgよりも6、7kg多いのは、運動をして筋肉がついたからです。

霜降りハム体型で80kg目前までいっていた体重を今の体重まで落としたときに行ったのが、「なんちゃって糖質制限」です。「なんちゃって」なので、糖質を食べないわけではありません。主食も間食もルールさえ守っていただければ食べてOKです。

「1日○g」「1食○g」などと糖質量を縛っても実践できませんから、そんな細かいことはいいません。だからこそ、無理なく続けられるので、リバウンドもしませんし、体調が悪くなることもなければ、筋肉も落ちません。「なんちゃって糖質制限」は自信をもっておすすめできるダイエット法です。