前頭前野をバランスよく発達させるには

とはいえ、昨今では、「詰め込み教育はよくない」といった風潮が強くなってきました。

私も、「詰め込み教育“だけ”やるのはよくない」と考えています。前頭前野をバランスよく発達させるには、学習だけでは不十分だからです。

食事で必要な栄養を摂取したり、体を十分に動かしたり、友達とドキドキするような体験をすることで、複合的に脳が刺激され、はじめて健全な脳の発達が促されます(詳細は拙著『子どもの脳によいこと大全』参照)。

子どもの脳は「学習」が大好き

こうした多様かつポジティブな刺激の中でも、前頭前野が明らかに大喜びしてその働きを活性化させるのが、「読み書き計算を素早く行うこと」だったのです。

川島隆太『子どもの脳によいこと大全』(プレジデント社)
川島隆太『子どもの脳によいこと大全』(プレジデント社)

これは、脳が未発達な赤ちゃんでも、おそらく同じです。

実験では、母親が赤ちゃんに絵本の読み聞かせをすると、音を判別する側頭葉だけでなく、思考や感情を司る前頭前野も活性化することがわかっています。

まだ言葉がわからないうちから、人間の脳は「学習」に対して強く反応する。その事実を知れば、子どもたちにどんな刺激を与えればよいのかが、おのずとイメージできますね。

ことほどさように、子どもの脳は「学習」が大好き! なのです。