肉、魚、野菜の好みは地域によってどう変わるのか。統計データ分析家の本川裕さんが、2019~21年の家計調査を基にチェックすると、「日本列島の東西で食の好みは大いに異なることがわかった」という。一目でわかる味の好みの列島図表を紹介しよう――。
マグロの刺身
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同じ日本人だが、地域で食の好み驚くほど違う

好きな食べものは、肉か魚か野菜か、あるいはコメかパンか麺か。前回は、家計調査データを使って食品間の嗜好の違いを地域別にあきらかにした全国分布マップを作成した。

今回は、さらに主要なおかずである肉、魚、野菜について、品目別にはどんな食嗜好を各地域が有しているかを同じような地域分布図で見て行こう。

結論から言うと、日本列島の東西で食の好みは大いに異なり、関西人にとって肉は「牛肉」、魚は「たい」、野菜は「はくさい・なす・さつまいも」だが、関東人にとっては、肉は「豚肉」、魚は「まぐろ」、野菜は「ねぎ・トマト・じゃがいも」というように非常に対照的なものとなっている。

また、関西と関東の差だけでなく、東北、北陸、中高高地、中四国、九州とそれぞれの地域でかなりまとまった食に対する傾向が表れている。こうした点を、肉、魚、野菜の順番で、以下、それぞれ見ていこう。

肉と言えば西日本では牛肉、東日本では豚肉

肉の好みの地域分布については、2019年12月に“「西の牛、東の豚」という嗜好分布の意外な背景”と題した本連載の記事で東西の肉の好みの差について、その起源まで含め、詳しく分析した。細かい内容はそちらを参照していただくとして、ここではその時にはお見せできなかった地域分布マップを紹介しながら、その内容を概括的におさらいしよう。

前回連載記事の分布図のように、それぞれの県庁所在市で県が代表されると仮定し、家計調査の年間支出金額のランキングが一番高い品目から、生鮮肉のうち好んでいるのは牛か豚か鶏かを色分けしたマップを図表1に掲げた。

【図表1】東日本は豚肉、関西は牛肉、九州・中四国は鶏肉

描いた統計地図を見ると、北陸地方や東海地方より東の東日本では豚肉が一般に好まれており、関西圏と中京圏では牛肉が特に好まれ、西日本は基本的に鶏肉が好まれていることが明らかであろう。