最初の不倫

1997年には2人目を妊娠。女の子だとわかった後、夫と2人で名前を考えていると、夫は「みほはどう?」と言った。日向さんは、「なんで?」と聞いたが、夫は答えなかった。

頭を床につけて股の間からこちらをみつめる赤ちゃん
写真=iStock.com/StockPlanets
※写真はイメージです

2000年のある日のこと。30歳になっていた日向さんは夫と兼用しているパソコンを開く。すると“みほ”という女性からメールが届いていることに気付いた。心がざわつき、メールを開くと、「またあなたと1日中ベッドの中にいたい」と書かれている。

日向さんは目を疑った。他にも何通も届いており、もっと過激な内容のメールもあった。日向さんはふだんあまりパソコンを使わないため、夫は油断したのかもしれない。メールには携帯電話と家の電話番号が記載されていた。

思い切って電話すると、“みほ”が出た。関東在住の26歳で、大病院の一人娘。夫はアメリカにいながらにしてどうやって出会い、密会していたのかはわからない。“みほ”は日向さんの夫に妻子がいることを知らなかった。

「すみませんでした。すぐ別れます」。そう言って泣いた。

ところが、“みほ”はなかなか別れなかった。しびれを切らした日向さんは、夫に直接不倫を問いただし、離婚を切り出す。すると夫は悪びれもせず、すんなり離婚を受け入れた。

「“みほ”という女性が金持ちの娘だったので、夫はあちらに行きたかったのでしょう。まるで別人格になったかのように私に冷たくなりました」

離婚手続きへ向けて、取り急ぎ別居を決めた日向さんは、4歳の息子と2歳になろうとしていた娘を連れて帰国して北陸地方にある実家に帰った。ふと“みほ”に何か言ってやろうと電話すると“みほ”の母親が出た。別居に至った経緯と原因を話すと相手は、「あなたの夫に騙されていました」と言った。母親は“みほ”と夫は結婚の約束をしており自分たち両親にも挨拶していると言った。

「娘は別れさせます。でもうちはあなたの夫を訴えません。うちはプライドのある家だから」。“みほ”の母親はそう言った。