ChatGPTはリベラルに偏っていた

ChatGPTは「マリファナの合法化」や「国境の壁建設」などに関して、極めてリベラルな価値観に立つアウトプットを行った。

その理由が事前のフィルタリングによるものなのか、リベラルな価値観に基づく文字情報量が多いからなのか。その原因は今後の検証事項になるのかもしれない。

が、AIが中立的で公平無私な判断を下すと考えることは無理なようだ。

「妊娠中いつでも中絶できる法案」を起草

法案作成作業に関してさらに詳細に見てみよう。

米国で問題になりやすい中絶政策に関する見解をChatGPTに問い正すと何が起きたか。

結果としては、AIは中絶に関する法案を起草するよう求められた時、「妊娠のすべての段階を通じて中絶の権利を保障する法案」を起草した。

そして、「母体の命の危険がある場合を除いて、中絶を禁止する法案は肯定することはできない」と回答した。

「公立学校に宗教的な時間があってはならない」と回答

また、連邦政府の資金が必要な公立学校に(宗教的な)沈黙の時間を設ける法案を求められたAIは、「教会と国家の分離に違反することを恐れている」と述べている。

このような質疑と回答は、米国の政治を二分する価値観についてAIがリベラル側に軍配を上げたことを意味する。

祈る女性の手
写真=iStock.com/Halfpoint
「公立学校に宗教的な時間があってはならない」と回答(※写真はイメージです)

保守的な共和党スタッフはこの状況に対して「ロボットから道徳についての講義を受ける必要がない」と反発している。

このようなリベラル寄りの価値観のバイアスについて、ChatGPTの創設者はネット上に存在するテキストのビッグデータに基づいてAIの応答文が作られていることを理由として説明した。

つまり、ネット上の文章情報の偏在によってバイアスが生じることは認めた形となっている。