現場の声が階層を超えて届くようになった

【時田】富士通は2020年から「Fujitsu Transformation」、略して「フジトラ」をリッジラインズと一緒に進めてきました。「その後、富士通はどれだけ変わったのか」と聞かれたら、少なくとも私が現場のSEとして働いていた20~30年前からは全く違う環境になったといえるくらいの変化はあります。

現代は不確実性が高く、予測不可能なことも多い。一人ひとりが自律的にやるべきことを探して行動し、それが社会的なインパクトに繋がるように、もっともっと変わっていく必要がある。富士通の規模から考えると、まだまだできることはある。

ただ、社内SNS上でいろいろなコミュニティが立ち上がり、そこで様々な議論が出始めています。「自分はこう思う」という意見が出ると、それに「いいね」ボタンで賛同を示し、改善案や対案を示すことも増えています。そこはポジティブに感じていて、10~20年前には見られなかった状況です。

自らコミュニティを立ち上げ、何かイニシアチブを取っていこうという声が上がり始めたのはすごい。過去にはやはり階層があって、現場の声がなかなか届かなかった。そのギャップのせいで組織が停滞することもありましたが、それがフジトラの活用で克服されつつあると思っています。

全世界同時通訳で開かれる富士通の役員会

もちろん、有体にいえば今でも階層や強いヒエラルキー構造はあります。まだ、がっしりと(笑)。しかし、10人に満たない人たちが自ら課題を定義し、パーパスを基に「こういうのをやろうよ」と声を上げて新たな活動を始め、事業に繋がっていけたら最高ですね。富士通という大組織のマネジメントでいえば、ヒエラルキーと階層の中でまだまだ縛られることの方が多いのは事実です。規模の小さな会社ではないので、そこはやはり非常に難しい面がありますね。

【今井】ここ1年ほど富士通の役員会に出させてもらっていますが、他の会社でいう常務クラス以上にかなりの数の外国人がいますよね。私が知っている頃の富士通は35年も前なので、その当時から比べると随分変わってきた。全世界同時で通訳をつけながら議事が進行する一方で、チャットも使いこなしながら議論が足りないところを補い合ったり、会議の中でやろうと決めたことは必要な連携が役員同士で即座に行われたりしている。これは非常に面白いなと思って見ています。

私が日本語で意見を述べると通訳者がそれを訳すのですが、それに対して「いいね、それ」といった反応がチャットで複数のボードメンバーからどんどんくる。誤解を恐れずにいえば、昔の“御前会議”のような役員会議では、おそらく起きなかった事象です。そういう意味ではテクノロジーや役員クラスの意識改革の影響が大きいと思います。