ChatGPTはどこまで社会に浸透するのか。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「大学生に聞いてみると、実際に使ったことがある人は1割しかいなかった。ChatGPTが作る文章はまだまだ稚拙でリスクも多いが、近い将来、『私は使えなくてもいい』という状況ではなくなるだろう」という――。
ChatGPT
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開発企業は日本語対応に前のめり

米OpenAI社が開発した生成系AI、ChatGPTが話題だ。「スマホに匹敵する発明」とか「Googleが要らなくなる」とまでいう人もいる。

4月、OpenAI社のアルトマンCEOが岸田首相と面会した。ChatGPTの可能性と活用、リスクへの配慮などについて意見交換し、日本語サービスの拡充を検討するとした。このときのアルトマンCEOのプレゼン資料は、会合に出席した塩崎彰久衆議院議員がネット上で公開している。

資料では、日本に向けて「言語の壁・ITの壁がなくなる。誰でもOpenAI API+ChatGPTによって英語やプログラミングなしでAI技術を使える」と利点を強調。AIに「大阪のおばちゃん風」に回答させた例も紹介している。

企業、中央省庁も業務効率化に活用へ

ChatGPTとは、人工知能AIを使って自然な会話が行えるチャットサービスだ。2022年11月に公開され、日本語を含む多言語に対応。23年3月には月額20ドルの「GPT-4」がリリースされ、23年第4四半期には「GPT-5」がリリース予定だ。

ChatGPTの性能は非常に高く、小説を書いたり、プログラミングをしたり、大学のレポートの作成もできる。ビジネスメールの作成などもできるため、一般の企業でも業務効率化に活用できるなど、可能性は広がっている。

パナソニック コネクトは日本マイクロソフトと組んでChatGPTの技術を活用した独自の生成系AIを開発、2月から全社員に導入した。業務の資料の雛型作成や、社内会議の式次第作成、プログラミングコード作成支援などに活用している。その後、パナソニック ホールディングスは、子会社である同社の支援を得て、国内全社員9万人への「PX-GPT」導入を決めた。そのほか、業務効率化のために社員にChatGPT利用を支援する企業も現れている。

中央省庁も「要機密情報」は扱わないという前提のもとで、活用に前向きだ。まずは農水省が先陣を切り、ChatGPTを電子申請システムの利用マニュアル改定などに活用し始めている。