「プロ野球を反面教師にした」

1993年のJリーグ開幕当時、有名な「川淵三郎・渡邉恒雄論争」が起こった。Jリーグの理念に基づき、地域密着のクラブを全国に展開しようとする川淵三郎氏に対し、ヴェルディ川崎オーナーの渡邉恒雄氏はクラブ名に親会社の企業名を冠するとともに放映権をクラブに帰属させるように主張した。

要するにJリーグを「プロ野球型」のビジネスモデルに変えるように主張したのだ。しかし川淵氏はそれを峻拒しゅんきょ。渡邉恒雄氏に「独裁者」と呼ばれる騒ぎになる。

バットと小さなサッカーボール
写真=iStock.com/marcoventuriniautieri
※写真はイメージです

以後、Jリーグはプロ野球とは異なるビジネスモデルで発展し、現在に至っている。

前述した川淵三郎氏のインタビューで、川淵氏は「Jリーグを作るにあたっては、先行するプロ野球の仕組みを参考にさせていただいた。でも中には“反面教師”にしたものもある」と話した。それは恐らく放映権を中心としたビジネスモデルのことを指しているのだろう。

川淵氏が「今はナベツネさんとは仲がいいんだよ」と言ったのが印象的だった。勝負はついたということか。

プロ野球界の未来は暗い

野球、サッカーなどのプロスポーツは、少子化、高齢化、テレビメディアの衰退、DXの進展など市場やメディアの変化の中で、事業戦略、マーケティングの変革に直面している。

この問題は1球団、クラブの努力で何とかなるものではない。プロ野球、サッカーを統括する機構、さらには野球界、サッカー界が総意をまとめ上げて動くべき大きな課題だ。

さまざまな団体が乱立し、経済的にも脆弱ぜいじゃくな基盤しか持たない野球界は、野球人口、競技人口の減少に直面して、大同団結すべき時を迎えるはずだ。

すでに新潟県などでは少年野球から大学野球、社会人までもが話し合う協議会ができている。独立リーグもここに参画することがあるが、野球の未来をともに考える「野球の仲間」としての連帯が必ず必要になるだろう。

2026年の次のWBCまでに、本当の意味の「オールジャパン」が誕生してほしいと願わずにはいられない。

※編集部註:初出時、タイトルを「利益額」としていましたが、正しくは「収益額」でした。訂正します。(5月19日16時00分追記)

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