政治とがっちり手を組んでいる

それに異議を唱えたのが緑の党で、彼らは、脱石炭の期日をもっと早めるべきだと主張した。そして、その緑の党と心を一にしているのが、ドイツ全土にもあるという自然・環境NGOだ。登録されている1100万人の会員が、今やドイツの世論形成を牛耳る一大勢力となっている。

NGOを味方につけ、脱炭素の大波に乗った緑の党は、2021年9月の総選挙後、与党入りも夢ではないと言われ始めた〈追記:同年12月に発足したショルツ政権で実際に与党入りを果たした〉。

政治とNGOのタッグはすでに堅固だ。NGOは政府の専門委員会に加わり、政治家の外遊にもしばしば同行、国際会議ではオブザーバーとして常連席を持っている。2019年、シュルツェ環境相はマドリッドでの国連気候行動サミットに出席中、「NGOの人たちとの会話は私にとって非常に重要だ。我々は同じ問題のために戦っている」とツイートした。

選挙で選ばれたわけでもない人間が税金で行動し、国政や法案の策定にまで口を挟むことについての合法性はかなり希薄だが、今のドイツではすでにそれが当たり前。しかも、そのNGOの財政を強力に支えているのが、国、州政府、そしてEUなのだ。

巨額の予算がついても実態は「明らかな欠落部分がある」

ベルリンに本部を持つBUNDは会員58万人で、同組織が2014年から19年の6年間に公金から受けた補助の総額は、2100万ユーロ(約27.3億円)に上る。一方、ドイツ最大のNGOであるNABU(会員62万人)は、同じ期間にやはり8つの公的機関から5250万ユーロ(約68.3億円)の補助を受けた。

NABUは動植物の保護を活動の主体とし、近年は風車に巻き込まれて死ぬ野鳥の被害を訴えている。NABUの受けた補助金の内訳は、最高額3600万ユーロ(約46.8億円)が環境省からで、その他、経済協力開発省、労働社会省、教育研究省、外務省からも出た。また、それに続く2020年から2023年までの4年分の補助金としては、すでに4700万ユーロ(約61.1億円)という破格の予算が組まれている。

ただ、同論文の著者らによれば、NGOの決算報告には、「申告と実態との間に明らかな欠落部分がある」。2016年、欧州議会の予算委員会が、EUが援助しているNGOの財務監査を専門家グループに依頼したが、NGOは複雑に絡み合い、さらに、資金は環境や自然保護だけでなく、教会の慈善事業や中国との共同プロジェクトなど広範に拡散されており、結局、どのNGOが、どこで、どの活動に従事し、互いにどういう関係にあるかが掴めず、調査は徒労に終わったという。

この事実をどう解釈すべきかが私にはわからない。専門家グループが無能だったのか、NGOがプロフェッショナルだったのか、あるいは、実態を隠したい勢力が存在したのか?