眼精疲労は「目の疲れ」だけではない

また、交感神経を高ぶらせた状態で手元の画面を見るという行為自体、疲れを生みます。眼精疲労を招くのです。

眼精疲労が、目の疲労だと思っている人は多いでしょう。ところが、眼精疲労にも自律神経が深くかかわっていることがわかってきたのです。

梶本修身『疲労回復の専門医が選ぶ 健康ベストセラー100冊「すごい回復」を1冊にまとめた本』(ワニブックス)
梶本修身『疲労回復の専門医が選ぶ 健康本ベストセラー100冊「すごい回復」を1冊にまとめた本』(ワニブックス)

肉食動物は、獲物を獲るとき、交感神経を高ぶらせながら、遠くを見て獲物を探します。だから動物は、交感神経優位で緊張状態を維持している間は、目のレンズを薄くして遠くを見るように設計されているのです。

ところが、デスクワークが主流となった現代人は、交感神経を高ぶらせながら、近くの画面を見て仕事をしなければいけなくなりました。つまり、デスクワークをするために脳を交感神経優位に保ちながら、一方で目のレンズに対しては副交感神経優位にして近くを見なければならない矛盾。それが眼精疲労の正体なのです。

スマホもパソコンも現代ではなくてはならないツールなので、手放すわけにはいきません。でも、仕事や家事の合間にリフレッシュのためにスマホを見る、ネットサーフィンをする……といったことが、かえって疲れを増幅させていることはわかっていただけたでしょうか。

悩みの種になる人間関係を整える

最後にもう一つお伝えしたいのが「環境」の大切さです。つまり、安全・安心で快適な環境をつくること。嫌いな人が近くにいたり、不快な場所、危険な場所にいたりしていては心も体も休まりませんよね。交感神経が興奮しっぱなしになり、副交感神経優位のリラックスした状態にはなりません。

現代人にとって、日頃、悩みの種となる環境といえば人間関係ではないでしょうか。職場“環境”も、家庭“環境”も、結局のところ人間関係の問題です。

2013年に出版され、世界累計で500万部を超える大ベストセラーとなった『嫌われる勇気』では、「すべての悩みは『対人関係の悩み』である」と断言します。哲学者と青年の対話を通して、「どうすれば人は幸せに生きることができるのか」というアドラー心理学の考え方を教えてくれる、この本。安全・安心で快適な人間関係を築くためのヒントを得られると思います。

【関連記事】
頭が疲れた時に甘い物を食べると老化を早めてしまう…ブドウ糖より健康的な「脳のエネルギー源」がある
つらい肩こりには「揉む」より「ゆるめる」がいい…マッサージや整体に通っても不調が解消しないワケ
ストレスだらけの自衛隊員のメンタル維持法…それは「規則正しい生活、清潔なトイレ、温かい食事」だった
懐かしの「折りたたみ式ケータイ」に乗り換える高校生が続出…ジワジワ広がる「スマホ疲れ」という本音
「10万人の胃腸を診た専門医が警鐘」日本人の約5割が毎朝食べている胃腸に最悪の"ある食べ物"