ノルウェーの山村と木頭は似ている

「ここはキッチン兼ダイニングで、あちらはリビング。伝統的な日本旅館におとぎ話のようなイメージを取り込んだつもりでデザインしました」

アルリック・ファレット氏、「ネクストチャプター」内のキッチン前で
写真提供=筆者
アルリック・ファレット氏、「ネクストチャプター」内のキッチン前で

もともとは古い日本旅館だったネクストチャプター。全面リノベーションによって生まれ変わり、2022年8月にオープンした。地元大工と共にリノベーションを担当したのがアルリックだった。

「タイラーもいろいろ手伝ってくれました。今はヨットの準備でカリフォルニアに戻っていますけれどもね」

昔から大自然好きで日本ファンという点でアルリックはタイラーと同じだ。

生まれ故郷はノルウェーの山村フォルダル。人口2000人であり、大自然に囲まれている。農場経営の両親の下、アルリックは当たり前のようにハイキングやスキー、釣りを楽しみながら育った。「大自然の中の小村……木頭との類似点は多いですね」

10代前半で『ドラゴンボール』に刺激を受ける

アウトドアライフにどっぷり漬かりながらもクリエイティブな活動にも取り組んでいた。グラフィックデザイン、写真、動画――。農場の古いピアノで遊んでいたことから音楽にも興味を抱き、20代半前半に音楽テクノロジーの学位を取得。その後、ノルウェーのドキュメンタリー番組向けの音楽を担当する機会も得ている。

日本にもかねて関心を寄せていた。10代前半に漫画『ドラゴンボール』を読み、刺激を受けたためだ。

木頭に移り住んで当初は戸惑いもあった。同じ外国であってもイギリス――ウェールズの首都カーディフに1年間住んだことがあった――とは全然違っていたからだ。それでも1年後には木頭にすっかり溶け込んでいた。日本人のガールフレンドと一緒だったことも幸いしたのかもしれない。

「最初に旅行者として日本に来たときにはびっくりしました。何もかも違っていたから。でも、実際に住んでみて分かりました。日本人もノルウェー人も同じ人間で、大して変わらないのです」