約7割の生徒が部活に悩みを抱えている

さて、そんな理念が込められていながら、周知の通り、現実の部活は自主性に満ちあふれているとは決して言えない。それはデータにも表れている。

スポーツ庁が実施した「平成29年度運動部活動等に関する実態調査」の結果を見ると、運動部参加者で「特段の悩みや課題はない」と答えた中高生は3~4割に留まる。逆に言えば、残りの6~7割ほどの中高生は何らかの悩みを抱えている。たとえば、「部活動の時間・日数が長い」「学業との両立」「体がだるい」といった悩みだ。「自主的」に入ったはずの部活で悩んでいるとは、これいかに?

その理由は、生徒が望む以上に部活が過剰に行われているからだ。学校のルールで部活に強制参加させられる生徒は少なくない。上記調査では部活へ「全員が所属」と決めている中学校が31.8%もあることが明らかになった。明示的に「全員が所属」とは決めていない残りの学校も、なんとなく部活に入らなければならない雰囲気や空気感が無いとは言い切れない。その雰囲気や空気感に従わざるを得ず、部活が事実上の義務になってしまっている学校も多い。

冒頭で述べたように、自主的どころか強制される部活も少なくないのである。

生徒目線では部活は「やりすぎ」

同調査では、運動部活動に所属する中高生に、現実の活動日数・時間(実際どれくらい活動しているか)と理想の活動日数・時間(好ましい活動時間はどれくらいか)も尋ねている。その現実/理想を比較した2次分析をしてみた。具体的には、①平日放課後の活動時間、②土曜日の活動時間、③日曜日の活動時間、④土曜日の活動日数、⑤日曜日の活動日数の5項目で、生徒目線で見た現実/理想を比べてみた。

その結果をそれぞれグラフに示したので見てほしい。

生徒目線で見た運動部活動の活動時間・日数の現実/理想
(注)分析手続きの詳細は、拙論「日本のユーススポーツ」日本スポーツ社会学会編集企画委員会編『2020東京オリンピック・パラリンピックを社会学する』所収、創文企画。

①平日放課後の活動時間についての現実/理想は、中学で127.8分/121.0分、高校で147.6分/134.8分であり、現実が理想よりも長かった。現実に対する理想のあり方は、中学で6.8分減(マイナス5.3%)、高校で12.8分減(マイナス8.7%)となる。

同様に、土日の活動時間、活動日数(1月あたり)について、中学、高校のいずれにおいても、生徒の理想を超えて部活が行われていた。なんと、すべてで現実が理想を上回っていた!

つまり、平均的な生徒目線で見ると、部活はやり過ぎなのだ。生徒はもう少し休みがほしいと思っているが、現実の部活の強制性がそれを許さないのだ。